ライブのおはなし
2025年11月15日、東池袋プレイヤーズにて、第13回しろくま図書委員会のライブ
「続・読書週間」が開催された。
短いギターインスト「秋深し。隣は本を読む人よ。」が静かに鳴り始めた瞬間、会場は一気に“昭和の中学校の放課後”へと引き戻される。宮野馨の軽妙なあいさつと、「何かあったら“しろくまー!”と叫んでください」というおなじみの呼びかけに、観客の声が自然と重なり、この夜の物語世界への扉が開かれた。
図書委員のあのこが登場し、「読んでますかー?」という問いに客席が応えるやりとりは、しろくま図書委員会ならではの儀式だ。最初の楽曲「秋のしおり」は、落ち葉やイチョウ、モミジといった季節の情景を通して、“本と過ごす時間”の豊かさを丁寧に描き出す。静かな歌声と歌詞が、観客一人ひとりの記憶にそっと触れていく。
MCでは「読書週間」という学校行事を軸に、物語の設定が改めて共有される。読書が苦手な野球少年・宮野くんと、本を愛する図書委員のあのこ。教室、テスト用紙、席替えといった具体的な情景が語られたあと、「ころがる消しゴムのように」「きみにチェック!」といった楽曲が続き、教室での視線や距離感、言葉にできない感情が、歌として鮮明に立ち上がっていく。
物語はやがて図書室へと戻り、「もしも借りたら」で“本を借りる”という行為そのものが、一大冒険として描かれる。続く「絶対禁止」では、図書委員としての使命感とユーモアが爆発し、観客参加型のコールや「しろくま宣言」によって、会場は一体感に包まれた。
後半、物語は転調する。図書室にいないあのこを探す不安から始まる「きみが消えた日」、そして図書館での再発見を描く「本が好き」。本を読むという行為が、場所を超え、生き方そのものへと広がっていく瞬間だった。新曲「続・読書週間」では、“週間”と“習慣”を重ね合わせ、読書が一過性のイベントではなく、人生に寄り添い続けるものだというメッセージが、力強く、しかしやさしく歌われた。
キャラ解放後のトークや後半の楽曲群では、物語と現実、フィクションと観客自身の記憶が溶け合っていく。「すれちがいの図書室」や「本の住所」では、図書室という場所が持つ意味が改めて提示され、最後は「図書館へつづく道」で静かに締めくくられた。
大きな事件が起こるわけではない。それでもこの夜は、本を読むこと、好きなものを好きでいることが、どれほど人を前へ進ませるのかを、確かに刻みつけた。
第13回しろくま図書委員会「続・読書週間」は、読書の物語であると同時に、私たち自身の記憶をそっと開く、あたたかなライブだった。