しろくま図書委員会

次回予告


2024年12月14日土曜日 YouTubeにて今月の動画を公表します。

2025年2月1日土曜日17時開演 「リーディング・ハートビート in Winter 〜冬はしろくまの季節です」於 ライブハウスコタン 出演 碧穂 しろくま図書委員会

謝辞

2024年11月3日日曜日  アルバム発売ライブ「Bar愛読書綺譚」満席御礼申し上げます

アルバム「図書委員とぼく I どうしたらきみと話せたんだろう」の通信販売はこちらより始まりました。

活字好きなあなたのための、しろくま図書委員会のこれまでのお話

※次のライブのために、読んでおきましょう。まだ、間に合います。

しろくま図書委員会の春学期(2023年4月8日)

開演。懐かしのチャイム風イントロから、読書日和。読書にふさわしい条件なんて、いつでもどこでもいい、という主張はわかりすいことでしょう。

読書日和(上)

雨の日は読書日和 外で遊べないこと
 忘れるくらい夢中になれる
晴れの日は読書日和 光 揺れる本棚で
 好きな本たくさん選べる
風の日は読書日和 風雲急を告げるって
 こんな感じだって思える
月の日は読書日和 何も心配いらない
 ただ本を読んでいられる

永遠に読書日和 好きなだけ読んだら
 またあした 最初に戻る

初めての土曜日の委員会活動。物語を進めていくのは、ある日ある時から図書室に籠る図書委員のあのこに夢中な中学生、ぼくこと「宮野くん」と図書委員風の「名前のないこ」が、二人でギターを弾きながら歌っていくステージであることを説明。その実年齢に準拠して、昭和の舞台。中学校に上がったら図書委員になる女の子の歌すなわち彼女は小学生。

図書委員になりたい

春休みが終わったら いよいよ中学生
新しい制服を着るのは楽しみだけど

最初の自己紹介 趣味は読書ですっていうと
大人しい子に見られがち
本当は誰より 自信があるの本の中ではね

第一希望は図書委員 必ず立候補するから
誰よりも早く図書委員 きっと叶いますように

あたたかい日が続いて 早く咲いた桜は
入学式より早く散ってしまいそうだけど

中学デビューは 最初が肝心だってうわさ
だけど私は関係ない
期待してるの 委員会活動本に囲まれて

第一希望は図書委員 きっと立候補するから
第二第三も図書委員 誰にもゆずらない

真っ先に図書委員に なりたいなんていったら 
真面目な子に見られがち
本当は誰より 正直なだけ本が好きだから 

第一希望は図書委員 必ず立候補するから
誰よりも早く図書委員 きっと叶いますように

第一希望は図書委員 必ず立候補するから
学級委員はごめんです きっと叶いますように

ぼくこと宮野くんがぼやきます。図書室の窓から覗くと必ず見える、図書委員のあのこは、みじろぎひとつせず、本を読んでいる様子。それは一体、どんな気持ちなのだろう。お昼はもう食べたんだろうか。トイレとか行かないのだろうか。晴れた日など、外の日差しをヒトは本能的に浴びたいと思わないんだろうか。一体、どういう気持ちなんだろうかと。ぼやくのです。

本が好き

本が好き なによりも だれよりも いつからか
開くたび 明かされる ひみつの予感に胸がさわぐ
本が好き 厚ければ 厚いほど 好きになる
めくるたび 深くなる 世界のとりこになってゆく

翼がなくても飛んで行ける
このまま行方不明になってもいい
明かりがなくても進んで行ける
このまま何も見つからなくてもいい

本が好き なによりも だれよりも いつまでも
開くたび 囚われる 幾千万のことばたちに
本が好き めくるめく ストーリーに 満たされる
語られる 真実と まことしやかな嘘の誘惑

地図がなくても辿って行ける
このまま暗闇に落ちてもいい
時計がなくても時空をこえる
このまま明日がこなくてもいい
本が好き なによりも だれよりも いつまでも

ここで図書委員により、第一回しろくま宣言が堂々と行われました。一同、拍手するしかありません。

わたくし<br />
しろくま図書委員は<br /> 
本を愛し<br />
本に愛される活動を<br />
行うことを<br />
ここに宣言いたします<br />
 令和5年4月8日<br /><br />
第一回しろくま図書委員会<br />

ぼくこと宮野くんは、そんなにも、本が好きですか、と呆れるしかありません。が、行方不明になってもいいと言えるくらい没頭できるって素敵なことですね、という理解はします。そして、少しずつそんな図書委員のあのこのことが、気になって気になって、いつからか図書室の前をうろうろする日課ができます。昼休みも。放課後も。なぜかと言えば、未だ彼女の顔も名前も学年も、つまりクラスもわからないからです。学校じゅうをひそかに探し歩きました。どこにいるんだろうかと。でも、見つからなかったのです。ここにしかいないんです。図書室でしか、存在感を発揮していないのです。

多くの人は、ぼくこと宮野くん図書室に行って確かめて来てごらん、と、背中を押す気持ちになることでしょう。しかし、ぼくこと宮野くんがそもそも図書室を発見したのは、偶然なのです。それまでは知りませんでした。おまけに、図書室に入るどころか、本を読む、という習慣すらなかったのです。つまり、なんの用件で入っていくべきか、入ったらどう振る舞えばいいのか。それも見当がつかないのです。

本はにがて

パパはねうちにいる間はいつも 本を読んでるの
或いはそうでない場合はいつも お酒飲んでるの
だからなのかなママの話は聞かないの
よくわからないけどそういうものなのかな

ママがねパパのことをわるくいうの
いやだな本当にいやだな
それで僕は本はにがてになったの

パパはね起きている間はいつも 本を読んでるの
それからお酒を飲む時はいつも テレビ観ているの
だからなのかなママの話は聞こえないの
聞こえないからかなママの声はますます大きく

ママがねパパのことをわるくいうの
あんな大人になってはダメとか
それで僕は本はにがてになったの

学校でも読まないの宿題でも読まないの
怒られても読まないもん
読まなくても僕死なないもん

どこにいるのかわからない

たぶん僕には気になる子ができた
朝も昼にもその姿をさがす

のに、どこにいるのかわからない
まず、顔も名前もクラスも
だから、確かめなきゃ確かめなきゃ
ならないような気がする
だって、遠足や運動会の写真にも
いないみたいなんだ

用もないのに階段をのぼるよ
ここで振り向けばその姿に会える

のに、どこの誰だかわからない
まだ、顔も名前もクラスも
だけど、あそこでならあそこでなら、
確かめられる気がする
だって、遠足や運動会の写真には
いないみたいなんだよ

でも、物語は進まなければなりません。それは宿命です。ぼくこと宮野くんはついに決心します。とにかく図書室に忍び込んで、顔だけ見てこよう。うまくすれば名札でクラスが分かるかもしれない。今日のところはそこまでにして、逃げ帰ればいいんだから。ゴーゴー宮野馨。自分を鼓舞するくらいはできます。

はじめまして

あらたまってこんにちはとか初めましてとか
言うべきだろうか来たことがない部屋
扉を引くと思ったよりも大きな音がして
首をすくめても 誰も気にしない部屋

会いたいというよりも みていたいと言うべきか
そんな理由ではだめだろなと背を丸めて忍ぶ書架

覗いていた窓の向こうは意外に広くて
摺り足で探す身を隠しながら
息を止めて目だけ使ってあの子を見つけて
鼻すする音が世界にこだまする

後ろ姿ではなく読んでみたい名札や
肩や背の高さ色々と 調べもののあるふり

会いたいというよりも見ていたいと言うべきか
そんな理由ではだめだろなと肩をすくめ忍ぶ書架

こうして、図書室に住んでいるような「図書委員のあのこ」、としか呼びようのない女のこに夢中になる中学生、宮野くんはほんの少しだけ、彼女との距離を縮めた気になったのでした。残念ながら学年もクラスも分かりませんでしたが、何せ名前が分かったのです。その名を知ってからのぼくこと宮野くんの傾倒ぶりは、筆舌に耐えない滑稽さです。みなさんも、身に覚えはあるでしょう。ぼくこと宮野くんが恥ずかしさのあまり彼女の名前を口にできないために、図書委員のあのこは、図書委員さんとしかこの物語では呼ばれないため、ライブにおいてもその名を紹介されないわけです。

さてここへ来て、その名を伏せたままの図書委員のあのこが、自分が虜になった本の魅力について語り始めます。静かに、穏やかに語っていたのは最初の二分。気がつけば五分にわたって、実演販売のように小道具を交えながら、夢中で語り続けました。

暑い。汗かいてるし。熱すぎる。彼女は、隙を見ては図書室に駆けていくのでした。図書室にかける少女だったのです。

あなたに会いに - 昼休みの図書室、二年後
昼休みの図書室は 誰もいないから
ほんの束の間 あなたに会いに行く
到底 いくことも かなわないような
深い森に あなたは  すんでる

私は遠くから そっとのぞく
音を立てず静かに 表紙をひらいて
心臓の音がきこえるくらい いま近くにいるから
もうだれも 邪魔しないで

昼休みの図書室は 昨日の続き
とまっていた 時計が動き出す
到底 みることも かなわないような
ちがう時代に あなたは いきてる

私は遠くから そっとよりそう
透明なまま激しく 想いをよせて
熱い呼吸をかんじるくらい いま近くにいるから
この瞬間 こわさないで

どんなにあなたに会いたかったか 駆け出したら止まらないから
 読み進めるほど速くなってゆくその背中追いかけてく

心臓の音がきこえるくらい いま近くにいるから
もうだれも 邪魔しないで

図書委員のあのこは、本を愛するが故に、その穏やかで清楚な物腰を育んでまいりました、と思われます。しかし実はその一方で本を愛するが故に、本の扱いを知らない者や、読書行為を軽視する者へのひそかな反発あるいは反感、憤怒にも似た非常に強い感情を押し殺して生きていたのでした。その思いは、実際いつどこで暴発するやもしれないレベルです。

思いあまって普段は外では見せることのない、白い耳をかぶり、歌い出したのです。

絶対禁止
気温25度以上は禁止です 汗をかいてしまうから
本がよごれてしまうから気温25度以上は禁止です

食べながらなんてもってのほか手を洗ってきてください
本がよごれてしまうから 飲食禁止は常識です

図書室の本には透明なカバーフィルムがはってあるけど
決して万能じゃないんです 大事にしてほしいんです

ページを折るのは禁止です 一度折ったらもどらない
本がいたんでしまうからページを折るのは禁止です

線をひくなんてもってのほかあなたの本じゃありません
本がいたんでしまうから あとの人だって困ります

図書室の本を大切に できない人は来ないでください
あなたは出入り禁止ですホントはそう言いたいけれど

よごれた本をみるとかなしくなる
いたんだ本はかわいそうだから私の中では絶対禁止!
図書室の本はいつだって 手にとる人を待ってます
みんなの役に立つために あなたの役に立つために

図書委員のあのこの思いがけない剣幕とその後の妙に外向的なテンションに、ぼくこと宮野くんは、思わずおどけてみせます。おやもしかしたら、仲良くなるチャンスは来たのかもしれませんよ。しかし、物語がそんなに易々と転ぶはずもないのでした。

すれちがいの図書室

ここのところ図書室は利用者の少なさが課題
図書室のドアを開けて誰でも入りやすくしています

あのこの姿が見えなくてドアが開いてるのに気づいたよ
恐る恐る近づいて首だけのばしてのぞいたら

「あれ、えーっと、宮野くん?」

あのこの口からぼくの名前が飛び出してきて耳を疑う
珍しい人が来てくれたでもドアの前から動かない

なぜ きみは どうしてなぜ きみは どうして
ぼくの名前を知ってるの?
図書室に入らないの?

すれちがいの図書室のドアは まだ開いたばかり・・・

同じクラスの男子だけど話すのはたぶん初めてで
図書室もたぶん初めてよねそんなに入りづらいのかしら

不意うちであたまは真っ白身体に電気が走ったよ
目があって声かけられてああどうすればいいのだろう
あのこは少し首をかしげて黒い瞳でぼくを見つめる

いつまでそこに立ってるつもり?
ドアを塞がないでほしいのに

なぜ きみは どうしてなぜ きみは どうして

ぼくの名前を知ってるの?
図書室に入らないの?

すれちがいの図書室のドアは まだ開いたばかり・・・

図書委員のあのこの普段見たこともない演劇部ばりの台詞回しにまごつく宮野くんを尻目に、ワンツースリーのカウントで歌いはじめます。誰がそうした図書委員。

私は誰より図書委員
幸せをつかむなら 後ずさりしてちゃだめね
本からそう教わった 私は無敵な図書委員
読めば読むほど重なる経験 どんな敵だって怖くない
縦横無尽に駆け抜けたパラレルワールドはここかしこ

本の世界は無限の世界
迷い込んだら戻れない? いいえ心配はいらないわ
チャイムがなれば ここはいつもの図書室だから

悲しみをいやすなら 背中を向けてちゃだめね
本からそう教わった 私は夢見る図書委員
読めば読むほど重なる人生 高くなってく経験値
以心伝心で共鳴した あの人たちはいまいずこ

さあ あなたも本を手にとって
素敵な体験重ねましょ 初めてだって大丈夫
本の借り方 探し方 教えてあげるから

貸出カードは5枚目 校内一位じゃないけれど
何でも聞いてください 私は誰より図書委員

何でも応えてあげる 私はあなたの図書委員
初めてだって大丈夫
でも貸出カードだけは 忘れないでね

ライブしろくま図書委員会の春学期においてはここまで、物語の設定の説明を中心に進めて来ました。このタイミングで一度、キャラクタから解放されたMCの時間となりました。ようやく図書委員こと柏原はねみは自己紹介をします。ここまでおよそ五十分弱。なぜかほっとする瞬間でした。なんという縛りでしょうか。毎回やることになるのでしょうか。

冬の間に、春のライブ開催を目指して春の歌を作っていました。もちろん、春になった今、夏を目指し夏の歌を作っています。

春の約束

3月の別れは何度も経験してきたけれど
いつだって初めてみたいに
今日でさよならとここから離れると思うだけで
胸がしめつけられる

毎日通った図書室で みんなで作った季節のかざり
失敗して笑ったこともあったねきみは意外と不器用で
またここへ帰ってくるね それは春の約束

ポスターもしおりも紙芝居だって作ったけれど
まだ足りない気がする
楽しい時間はあっという間にすぎて その
速さに追いつけないけど

毎日通った図書室で つむいだ私たちの物語
どんなにささやかで平凡でも
すてきな一冊の本のよう
またここできっと会える それは春の約束

簡単に消えたりしない きみの笑顔もその声も
忘れられない本のように

またここへ帰ってくるね それは春の約束

図書室で借りた本を返すと、図書委員さんが本棚に戻し片付けてくれるのだそうです。そして、返す場所って決まっているんですって。図書室に本を借りに行ったことのないぼくこと宮野くんは、知りませんでした。

本の住所~NDCコードのうた
Fu Fu Fu~
おかえり 今日はたくさん返ってきたね
おかえり それぞれの場所に戻しましょう
本には 住所があるんです
1は哲学 2は歴史 3は社会科学
覚えておくと探しやすいです Fu Fu Fu~

まいごに ならないように正しい住所に
かえして あげられたら嬉しいでしょう?
次の ブロックへ移動して
4は自然科学 5は技術 6は産業
ほらね、もっと知りたくなったでしょう?
7は芸術 8は言語 9は一番多い
文学作品です Fu Fu Fu~

きちんと 背表紙を手前にだして
そろえば 本もよろこぶ美しい本棚
残すは 最後のブロック
0は総記 1から9に あてはまらない
本は全部ここへ 戻したらおしまいですFu Fu Fu~

これにて本編終了。アンコールには、読書日和の続編を歌いました。

読書日和(中)

春の日は読書日和 あたたかい図書室で
 新しい本と出会える
空の日は読書日和 羽を広げどこまでも
 自由に飛んでいける
海の日は読書日和 宿題の課題図書
 読み始めるのにちょうどいい
山の日は読書日和 見晴らしのいいベンチで
 本を読んだら気持ちいい

永遠に読書日和 好きなだけ読んだら
 またあした 最初に戻る

終演。会場に流れるのは、あの季節の図書室に。なぜ、なんで、どうして、こんな物語にたどり着いてしまったのか、否、人生の半ばにこんな冗談のようなお話が待っていたのは、誰もが過ごした制服の頃の思い出は、二十一世紀の今ほど多様ではなかったのかもしれません。時間も空間も隔てながら知らず知らず共有していた思い出が為せる、あるいは必然だったのかもしれません。

あの季節の図書室に

胸の奥の とびらが
あの図書室につながっている
きみがいて ぼくがいた
あの季節の図書室に

ぼくらは 同じ時間を
ほんのひととき 過ごしただけ
それでも まぶしく あざやかに
目に浮かぶのは なぜ

立ち止まり 振り返り
とびらをそっと開けてみたら
とめどなく あふれだす
光のなか泳ぐように

ぼくらは 同じ時代を
ほんのひととき 過ごしてるだけ
それでも 確かに ここにいた
その証をうたいたい

近づけば 遠ざかる
あの大きな月のように
いまはもう 届かない
あの季節の図書室で

ぼくらは 同じ時間を
ほんのひととき 過ごしただけ
それでも 強く あざやかに
思い出すのは なぜ

いまつながるのは なぜ

しろくま図書委員会の物語はいくらか重層的で、分かりにくくなる場合がございます。MCでは、ぼくこと宮野くんこと「石村吹雪」というネタが説明なしに飛び交ったりしました。少しずつ、私たちのしろくま図書委員会の物語につきましてご理解いただけますように。

しろくま図書委員会の春学期 以上 topへ

「しろくまサマー♪」へいらっしゃい(2023年8月5日)

しろくま図書委員会に初めて接するの方のために、物語をより、手短かに。

舞台は中学校。昼休みに屋上から降りる階段の途中、偶然図書室の小窓の向こうに女の子を見つけました。顔もよく見えない、もちろん名前もクラスもわからない、図書室の中でしか見ることのない彼女を、ぼくは「図書委員のあのこ」とひそかに呼び始め、昼休み放課後と、毎日図書室をのぞきに行くようになりました。

家庭の事情で本は全く読まなかったぼくですが、ある日意を決して図書室に入り、「図書委員のあのこ」の顔と名前の確認ができました。しかしなにぶん、図書室以外では目立たない存在の「図書委員のあのこ」が、普段どこのクラスにいるのかは見当がつきませんでした。と、ここまでが、春のお話。

本の中は、自由。この暑いさかりにも、本の世界の中に没入してしまいさえすれば暑さなんか、際限なく流れ出て衣服を容赦なく濡らす汗だって、忘れることもできる。

のだそうです。

というわけで本を開き、本の中の世界から、何ものにも挫けることのない図書委員会活動への情熱を、夏のしろくま行進曲に乗せて、お送りします。

夏のしろくま行進曲ーとなりの小学校編

ひまわりのような笑顔でひかりのなかを歩いてく
どんなに暑くても負けない私たち しろくま図書委員

夏休みが始まる前にきちんとつくっておきます
課題図書のご案内 見に来てね

白い耳がトレードマーク笑われたってくじけない
いつでも誇り高くあるの私たち しろくま図書委員

夏休みも3回だけだけど図書室を開放します
自由研究の調べものしに来てね

あさがおのように毎朝欠かさず本をひらきます
せみたちの声にも負けない私たち しろくま図書委員

そして、本の中の世界には、なんでもあるんですって。だから図書室は世界そのものであり、つまり、世界は、図書室にあるんですって。すなわち、世界は図書室に始まり、図書室に終わる。

のだそうです。

世界は図書室から始まる

靴音を響かせて 小走りになる早く早く 急き立てられる
言葉が あふれだす空の下もう私は本の中で生きている

どこへも行けやしない 向かう先は決まってるから

世界は図書室に始まり図書室に終わる
最上級に 今 ときめいてる
どんな過去も未来もひみつも 手に入れられる

踏み出せばのびてゆく新しい道先へ先へ急き立てられる
風に つつまれる身体ごともう私は空の中を進んでいる

目をそらすなんてできない何も持たず飛び込んでいく

世界は図書室に始まり図書室に終わる   
遥かかなたの 宙の旅
どんな夢も理想もあこがれも 手に入れられる

世界は図書室に始まり図書室に終わる   
どんなきれい事 並べても
もう私をひきとめることなんて 誰にもできない

ステージでは図書委員は、ギター抱えてはねて歌い、踊るわけです。本の中の世界では、図書委員はふだん見られない姿を見せます。

図書委員は叫びます。

本の中でなら、疲れも知らずに踊れるし、誰にだって会える、何だって出来るんです。いいですか?  最もわかりやすく言えば、中学生にだってなれるんです。みなさん、ついてきてくださいね。

そして本の中とはいえ踊り疲れ、本を読みながら寝落ちする図書委員。

ふわふわしてる

長い長い 物語を ベッドの上で 読んでいたの
いつの間にか 雲に乗って空の上から あなたを探してた

どこにいるの 姿が見えない
歩きつかれて 隠れているの?
どこかけがして いないかしら
早く助けにいかなきゃいけない

ここはどこ? 私はだれ?
答えはきっと ベッドの下
ここはどこ? 私はだれ?
滑り落ちた本のなか

暗い空に はりついた あかい月が あやしく光り
いつの間にか雲をおりて耳をすましたわたしを呼ぶ声に

思うとおりに進んでいける
見知らぬはずの 見覚えある道
ふわふわしてる 世界のすべて
手をのばしたら 触れられそうなの

ここはどこ?あなたはだれ?
答えはきっと次のページ
ここはどこ?あなたはだれ?
明日読む続きのなか

本を読みながら眠ってしまった図書委員は、ステージをおります。

ひとりになったぼくこと宮野くんは、ぼやきます。あんなに本が大事と言っていたのに、寝ながらおっことすとは何事よ。おまけにどっか行っちゃったよ。でもぼくは知っているんです。図書委員のあのこは、時々、おかしなことをやっています。ぼくは見ちゃったから知っています。みんなは騙されているかもしれないけれど、あのこの頭の中は、ちょっと変なのです。

あのこの秘密

ある日 見てしまったんだ 図書委員のあのこが
 白い耳をつけて何か読み上げているところ
すこし 恥ずかしそうに図書委員のあのこは
 白い耳にふれてそしてまっすぐ顔あげた
真面目なこ と思ってたのに
本のためなら何でもするんだな
だけど 今までで一番 誇らしげだった
いつもみてる ぼくがいうんだから まちがいない

ある日 見てしまったんだ図書委員のあのこが
 白い耳をつけて何か怒っているところ
ほんと 初めてだったんだ図書委員のあのこが
 まゆをひそめて本をぎゅっとかかえてた
大人しい子 と思ってたのに
本のためなら あんな顔するんだな
だけど 今までで一番 あのこらしいかも
本を守る それが図書委員 なんだよね

静かなこ と思ってたのに
本のためなら何でもするんだな
だから 今まで以上に 目が離せない
いつもみてる ぼくがいうんだから まちがいない

図書委員は制服に着替えてステージに戻ります。目を覚まして本の中の世界から出て参ります。お話は、本の外の、いわゆる現実の続きになりますが、図書委員は衣装替えのアピール、客席へのかわいいコールの要請。これが現実の現実です。

さて、ぼくは、春からずっとおかわりありません。相変わらず明けても暮れても図書委員のあのこが気になって図書室の前をうろついています。

そしてある雨の昼休みに、いい場所を見つけました。校舎のすみの階段の踊り場。ここなら意外に誰も来ないし、何よりここからなら、遠目に図書室を覗くことが出来るのです。でも、誰かに見つかると怪しいので、ここでシャドウピッチングを始めることにしました。そうしてさえいれば、相変わらず熱心だねと、言われるだけですから。

踊り場でシャドウ

コントロールを磨きたくて
誰もいないところを探したよ
こっそり練習できるような
昼休みだれもいない屋上
シャドウピッチ無心で繰り返す
シャドウピッチ無心で繰り返す

急な雨に降られたので
踊り場に降りてきたんだ
かがむと見える窓のはしに
突然誰かが見えたので
シャドウピッチ無心で繰り返す
シャドウピッチ無人の踊り場で

昨日今日でわかったのは
そこは図書室というところ
ここもそこもこの時間には
僕らの他は誰もこない
シャドウピッチ無心で繰り返す
シャドウピッチ無心で繰り返す

わざわざぼくが昼休みや、時に放課後、図書室の前まで出向いていたのは、図書委員のあのこには、あそこでしか会えないと思っていたからなのです。でも。なんで今まで、気がつかなかったのでしょう。図書委員のあのこは、すごく近くにいたんです。

ころがる消しゴムのように

まさか教室の後ろの席に座っていたのが
あのこだったと知ってからはなんだか落ち着かない

転がる消しゴムのように
あのこの近くへは行けない
ボールのように角をとって
丸くしたらどうかなってこする

あの日落とした消しゴムがなんと珍しいことに
真後ろに転がったせいであのこが拾ってくれた

転がる消しゴムのように
あのこの近くへは行けない
もいちど狙って落としても
だいたい隣に転がってしまう

こするこする手の中でこっそり
まるくまるくボールならおてのもの
偶然と必然は紙一重こんな近くにいたのね
ありがとうっていいたいなうまくやればもういちど

転がる消しゴムのように
あのこの近くへ行けない
ボールのように角をとって
丸くしたらどうかなってこする

ぼくこと宮野くんは自分があまりに恥ずかしくて、すっかりしょげてしまいました。図書室の前の階段まで出向くのも気が引けているうちに、長い長い、夏休みが来てしまいました。

ぼくの宿題

よく読んで 感想を書きましょう 課題図書の宿題は
いつだって 先生はそういうけれど 
書けるわけない きみに会えない 夏休みは

きみは笑うかな ぼくを笑うかな
  本を見るたび きみを思い出すと知ったら

よく読んで 答えを考えましょう 
文章問題を解くときは いつだって 先生はそういうけれど 
考えても わからないよ この気持ちは

きみに会えるかな ぼくは会えるかな
自転車とばして 図書館に行ったりしたら

いつもの夏なら学校のこととか
勉強なんて忘れているけど
ことしは大事な宿題があるんだ
休みの間どうしたら きみを見つけられるか

きみは気づくかな ぼくに気づくかな
あの駅前の 本屋ですれちがったりしたら

きみは笑うかな ぼくを笑うかな
本を見るたび きみを思い出すと知ったら

ぼくこと宮野くんの物語はここまで。あとはしょげかえるぼくに代わって、図書委員のあのこによる、しろくま図書委員会のキャンペーン、「しろくまサマー♪」についての説明がなされます。配信カメラに映らない会場の壁には、まるで選挙期間のようにポスターが貼りめぐらされています。

抜粋(しろくまサマー♪とは)以下

「しろくまサマー♪」とは。しろくま図書委員会による、しろくま本のススメです。図書室の一番目立つところに、しろくまコーナーをつくって、しろくまの本や、しろくまがすんでいる北極にちなんだ本を集めて展示しています。みなさん、しろくまって知ってます? 北極ってどんなところ? 南極とはどうちがうの?  しろくまの体は白くないってほんとう? 知っているようでよく知らない、しろくまのひみつを知ることができます。読んでみたいでしょ。かわいい絵本もありますよ。氷の世界の写真を見るだけだって、涼しい気持ちになりますよね。

抜粋(しろくまサマー♪とは)以上

つまり本の中なら、自由自在。どこにだっていけるし、何にだってなれる。世界のすべては図書室にある。つまり何だって出来るんです。いいですか?  最もわかりやすく言えば、みなさんだって、すでに中学生なんですよ。みなさんはクラスメートなんですから。 

なんですって。

あなたに会いに - 昼休みの図書室、二年後

昼休みの図書室は 誰もいないから
ほんの束の間 あなたに会いに行く
到底 いくことも かなわないような
深い森に あなたは  すんでる

私は遠くから そっとのぞく
音を立てず静かに 表紙をひらいて
心臓の音がきこえるくらい いま近くにいるから
もうだれも 邪魔しないで

昼休みの図書室は 昨日の続き
とまっていた 時計が動き出す
到底 みることも かなわないような
ちがう時代に あなたは いきてる

私は遠くから そっとよりそう
透明なまま激しく 想いをよせて
熱い呼吸をかんじるくらい いま近くにいるから
この瞬間 こわさないで

どんなにあなたに会いたかったか 駆け出したら止まらないから
 読み進めるほど速くなってゆくその背中追いかけてく

心臓の音がきこえるくらい いま近くにいるから
もうだれも 邪魔しないで

ここで恒例、しろくま宣言。(画像は第一回のものを流用)

わたくし<br />
しろくま図書委員は<br /> 
本を愛し<br />
本に愛される活動を<br />
行うことを<br />
ここに宣言いたします<br />
令和5年8月5日<br />
第二回<br />
しろくま図書委員会<br />

しろくま宣言に続きまして、それを歌にしたコードはシロクマへと続きます。白い耳は伝統だったことが判明します。

コードはシロクマ

ある日先輩から白い耳を渡された
この図書委員会のコードネームは “シ・ロ・ク・マ”

図書室の本を守るのがきみたちの使命です 
同意するなら耳をつけこれを読み上げてくださいと
「私達しろくま図書委員は本を愛し、
本に愛される活動を 行うことをここに宣言します」
あの日先輩から白い耳を渡されて
すぐに決心したコードネームは “シ・ロ・ク・マ”

今日から立派なしろくまになりますと誓った
少し照れたのは初めだけ意外と似合うと思ったの
「私達しろくま図書委員は本と共に歩み
本と共に生きる活動を行うことをここに宣言します」

厳かに、コードはシロクマを歌い上げた後は、「もーそー! もーそー! もーそー! もーそー!」のコーラス練習を、会場の皆さんと行いました。

妄想モンスター

教室ではいつも大人しくしてるけど
ホントは本のことで頭フル回転
登場人物の行動 思考回路をトレースして
先の先まで読み解くの 想像を超えて行け

今日もやってきた 妄想モンスター 私の耳元でささやく
さあ剣を取って闘うのです! 石畳に気を付けて
あの港まで一気に 走りぬけるのです!
(もう、そうは 止められない  もう、そうじゃ ありませんって もう、そうね そういうしかないね)

授業中はいつも前を向いているけれど
ノートの片すみは落書きでいっぱい

波乱万丈で爽快な 紆余曲折のストーリーに
山あり谷あり裏切りも 大事なスパイスなの

今日もやってきた 妄想モンスター
私をわしづかみにして さあ
ハッチを開けて飛び出すのです! 面食らう敵をしりめに
大海原をこえて 風をつかむのです!
(もう、そうは 止められない  もう、そうじゃ ありませんって もう、そうね そういうしかないね)
(もう、そうは そのままで  もう、そうに 身をゆだねて  もう、そうね 早々に降参)

今日もやってきた 妄想モンスター
私がいれば負け知らず でも
先の展開は本の中 まだまだ授業は終わらない
次のページはお預け 早く早く終わらせて
(もう、そうは 止められない  もう、そうじゃ ありませんって  もう、そうね そういうしかないね)
(もう、そうは そのままで  もう、そうに 身をゆだねて  もう、そうね すべて受け止めて)

「しろくまサマー♪」へいらっしゃい。と高らかに放つ、図書委員さんによる今回のライブの叫びは、本の中の世界は、暑ささえ忘れることができる、なんでも叶う、想像の楽園なのであります。妄想モンスター万歳という内容でございました。力を入れて、もー!そー!とやったため若干息を切らしながら、前回に引き続き柏原はねみはここでようやく名乗ることの出来る時間です。

しろくま図書委員会は今のところ、ライブは頻繁に出来るほど準備はできていませんが、曲づくりについては誰に頼まれたわけでないまま、精勤しています。図書や読書とも無関係な作品までもどんどん作る始末で、それらはまとめて「しろくま番外地」と呼ぶことにして、いずれ配信を行う旨など、告知を繰り出します。その後には、水分補給も忘れて大真面目にSNSから情報活用能力まで幅広くお話が展開されます、さすが図書委員。

とまらない図書委員のお話を聞きながら、こんな小難しい話も共有してみたい宮野くんは、そのためなら、読めもしない本を読んでみたいと切に願うのでした。

きみと話せる本

ぼくが本を読んだら
きみはふり向いてくれる?
何を読んでるのって
興味を持ってくれる?

何を読んだらいいのか
 わからないけれど
きみの好きな本を 知りたいんだ

ぼくが本を借りたら
きみは何ていうだろう?
ほかの人と同じように
笑いかけてくれる?

何を借りたらいいのか
 わからないけれど
貸出カードはもう 準備万端

ほかの図書委員と 話しているきみは
クラスのときとは別人みたいに 笑顔だから

何を選べばいいのか  わからないけれど 
きみと話せる本を 知りたいんだ

ぼくの夢は、「図書委員のあのこと、お話をすること」という宮野くんに対して、「わたしの夢は、あのひとと、お話をすること」と曰う図書委員。

私の夢 ー ららら背表紙

私には夢がある
 好きな本をたくさん集めて
私だけの本の部屋をつくること

どんな順番で 並べよう
どんな大きさで 揃えよう
ああ あの小人たちの絵本は 真ん中に飾りたい
ららら 背表紙を眺めれば
 さまざまな文字が躍る
ららら 手と手をとりあって
朝まで踊り明かしましょう

私には夢がある
素敵な本に囲まれた部屋で
気になるあの人と語り合うこと

どんな装丁が好きですか
 どんな書体が 好きですか
ああ 図書室でも同じように 話せたらいいのに

ららら 背表紙を読むだけで
いろいろな事がいえる
ららら 目と目を交わしあって
朝まで語り明かしましょう

歌詞の中に出てくる、あの人。あのひと? あのひとというのは、どの人のことなの? あ。きっと、本の中の世界の人のことでしょう。今日はそういう流れだもの。そういうことなら、ぼくは黙って見ていればいいんだ。いや、まさか本の外の世界の人?本の外の世界って、ここでしょう?ここ?ここの、誰かのことって話?

図書委員さんは、クールに返します。「本の中で本の話をするのも、悪くないかもね」

すれちがいの図書室

ここのところ図書室は利用者の少なさが課題
図書室のドアを開けて誰でも入りやすくしています

あのこの姿が見えなくてドアが開いてるのに気づいたよ
恐る恐る近づいて首だけのばしてのぞいたら

「あれ、えーっと、宮野くん?」

あのこの口からぼくの名前が飛び出してきて耳を疑う
珍しい人が来てくれたでもドアの前から動かない

なぜ きみは どうしてなぜ きみは どうして
ぼくの名前を知ってるの?
図書室に入らないの?

すれちがいの図書室のドアは まだ開いたばかり・・・

同じクラスの男子だけど話すのはたぶん初めてで
図書室もたぶん初めてよねそんなに入りづらいのかしら

不意うちであたまは真っ白身体に電気が走ったよ
目があって声かけられてああどうすればいいのだろう
あのこは少し首をかしげて黒い瞳でぼくを見つめる

いつまでそこに立ってるつもり?
ドアを塞がないでほしいのに

なぜ きみは どうしてなぜ きみは どうして

ぼくの名前を知ってるの?
図書室に入らないの?

すれちがいの図書室のドアは まだ開いたばかり・・・

すれちがいの図書室、パート2は秋の読書月間ライブにやります。そうです。次回をお楽しみに。

マイペースな図書委員は、宮野くんの「それであの、あのひと。あのひとって、だれ」をかき消すカウント1-2-3

私は誰より図書委員

幸せをつかむなら 後ずさりしてちゃだめね
本からそう教わった 私は無敵な図書委員
読めば読むほど重なる経験 どんな敵だって怖くない
縦横無尽に駆け抜けたパラレルワールドはここかしこ

本の世界は無限の世界
迷い込んだら戻れない? いいえ心配はいらないわ
チャイムがなれば ここはいつもの図書室だから

悲しみをいやすなら 背中を向けてちゃだめね
本からそう教わった 私は夢見る図書委員
読めば読むほど重なる人生 高くなってく経験値
以心伝心で共鳴した あの人たちはいまいずこ

さあ あなたも本を手にとって
素敵な体験重ねましょ 初めてだって大丈夫
本の借り方 探し方 教えてあげるから

貸出カードは5枚目 校内一位じゃないけれど
何でも聞いてください 私は誰より図書委員

何でも応えてあげる 私はあなたの図書委員
初めてだって大丈夫
でも貸出カードだけは 忘れないでね

なんでもこたえてあげーるーわたしはあなたのとしょいいんーわたしはあなたのとしょいいんーわたしはあなたのとしょいいんーだって。あーよかった。だってね、いくらなんでも、本の中の人に会いたいとか、本の中の人と話したいとか、やっぱりちょっとおかしいよ。いくら暑いからって、そんなに頭おかしくはならないよね?

あれ?どうして何も答えてくれないの?そもそもぼくの声は聞こえていないの?ぼくの話は聞こえないの?聞こえない場所にいるの?

と、混迷の闇に落ちた宮野くんを後目に、しろくまサマー祭りは、終演を迎えます。

はいはいはいはい、みんなおつかれサマー夏のしろくま図書委員会、いかがでしたか? そろそろ、借りた本は片付けて。帰って、花火でも見ますか?或いは本でも、読みましょうか。

本の住所~NDCコードのうた

Fu Fu Fu~
おかえり 今日はたくさん返ってきたね
おかえり それぞれの場所に戻しましょう
本には 住所があるんです
1は哲学 2は歴史 3は社会科学
覚えておくと探しやすいです Fu Fu Fu~

まいごに ならないように正しい住所に
かえして あげられたら嬉しいでしょう?
次の ブロックへ移動して
4は自然科学 5は技術 6は産業
ほらね、もっと知りたくなったでしょう?
7は芸術 8は言語 9は一番多い
文学作品です Fu Fu Fu~

きちんと 背表紙を手前にだして
そろえば 本もよろこぶ美しい本棚
残すは 最後のブロック
0は総記 1から9に あてはまらない
本は全部ここへ 戻したらおしまいですFu Fu Fu~

今回、アンコールに用意したのは、最後に出来た曲でした。みんなで、しろくまーっと叫んで終了でございました。

しろくまサマー♪

みなさーん、しろくまサマーへ ようこそ

今日も太陽はギラギラ
みんなの瞳はキラキラ

日に焼けたその足で
図書室へきませんか

しろくま特集やってます
北極の風ふいてます
本を開けばほらそこは
ひんやり氷の世界
しろくまサマーへいらっしゃい

今日もプールは盛況
水しぶきたっぷりあびたら

ぬれた髪かわかして
図書室へきませんか

ぺんぎん好きなあなたには
南極の風ふかせましょ
本を開けばどこだって
たちまち氷の世界
しろくまサマーへいらっしゃい

次回は、10月14日に同じく曙橋で、「プレ第77回読書週間」

さらに読書の秋、11月は11日、場所を赤羽にありますレストラン、クロミツファクトリーに移して「本の日スペシャル」、5000円飲み放題プランの宴会モードにて、本年最後のしろくま図書委員会の公開活動をお送りいたします。

しろくま図書委員会(2)「しろくまサマー♪」へいらっしゃい 以上 topへ

プレ第77回読書週間(2023年10月14日)

しろくま図書委員会は、この春に発表認知され、まいど新曲ばかり演奏しているにも関わらず、夏には皆さんとともにしろくまーーーーと歌うことができました。今回はすでに新曲の、カラオケを発表していました。もしかしたらもう、歌えると言う方もあるかも知れません。試してみましょう。たかがといったら、ほん!と返すんです。されど、と言ったら、そうです、ほん!。素晴らしい。さすがYoutube。CDなんか出すより広まりますね。

それから、気の早い人は耳のようなものを着けたいとおっしゃるかもしれませんね。どうぞみなさん、早まってください。開演に先立ちまして、ご注意は前回と同様なので割愛させていただき、これまでのお話を申し上げます。

舞台は昭和の中学校です。野球にしか興味のない男の子(以後、宮野くんと記します)が、図書室で本ばかり読んでいる子に夢中になります。

決して目立たない、どこのクラスかも分からないその子を、「図書委員のあのこ」(ときに、図書委員と記します)とひそかに呼び始めたのです。

ある日宮野くんは、落とした消しゴムを拾ってくれたのが、他でもない「図書委員のあのこ」だと気がつきます。どこのクラスかも分からなかったはずの「図書委員のあのこ」は、同じクラスの、彼の後ろの席に座っていたのです。

というのが、前回までのお話。夏休みを過ぎて、秋です。いまだ本には馴染めないからか、近頃、宮野くんはあのこの真似をして、落ち葉拾いを始めたのでした。もちろん、掃除を手伝っているつもりです。

という長い前説を経て、設定上まだ名前の呼べない図書委員のご紹介。「さ、そしてこちらが、落ち葉拾いに余念がない図書委員のあのこです」

回を重ねるほど癖になったというか、しろくま宣言に並んで儀式らしくなってきましたのが、演者による客席への、かわいいコールの強要。もはや堂々たるものです。

開演です。

「さ、第3回図書委員会を、始めてまいりましょう。みなさん、秋といえばなんでしょうか? そうですね、秋と言えば『読書の秋』。そして今月は、日本の国民的一大行事、『読書週間』がやってきますよ。」図書委員は高らかに宣します。

読書日和(秋)

雨の日は読書日和
外で遊べないこと忘れるくらい夢中になれる

秋の日は読書日和
だって読書の秋だって昔からそう言われてるし

雲の日は読書日和
ふかふかのあの上ならずっと本を読んでいられる

月の日は読書日和
何も心配いらないただ本を読んでいられる

永遠に読書日和
好きなだけ読んだらまた明日最初に戻る

雨の日は読書日和

そして、噛み合わない図書委員とぼくの会話が始まります。

「ことしの読者週間は、10月27日からなんですって」

「いいえ。ちがいます。読書週間は、11月3日の文化の日を中心とした2週間と決まっています。つまり、今年の読書週間が10月27日から始まるのではなくて、毎年、10月27日から始まるのです。さあ、みなさん、図書室で好きな本を探しましょう」

本が好き

本が好きなによりもだれよりもいつからか
開くたび明かされるひみつの予感に胸がさわぐ
本が好き厚ければ厚いほど好きになる
めくるたび深くなる世界のとりこになってゆく

翼がなくても飛んで行ける
このまま行方不明になってもいい
明かりがなくても進んで行ける
このまま何も見つからなくてもいい

本が好きなによりもだれよりもいつまでも
開くたび囚われる幾千万のことばたちに
本が好きめくるめくストーリーに満たされる
語られる真実とまことしやかな嘘の誘惑

地図がなくても辿って行ける
このまま暗闇に落ちてもいい
時計がなくても時空をこえる
このまま明日がこなくてもいい
本が好きなによりもだれよりもいつまでも
踊り場でシャドウ

コントロールを磨きたくて
誰もいないところを探したよ
こっそり練習できるような
昼休みだれもいない屋上
シャドウピッチ無心で繰り返す
シャドウピッチ無心で繰り返す

急な雨に降られたので
踊り場に降りてきたんだ
かがむと見える窓のはしに
突然誰かが見えたので
シャドウピッチ無心で繰り返す
シャドウピッチ無人の踊り場で

昨日今日でわかったのは
そこは図書室というところ
ここもそこもこの時間には
僕らの他は誰もこない
シャドウピッチ無心で繰り返す
シャドウピッチ無心で繰り返す

「シャドウピッチ? 踊り場にいるだけで、図書室に入らないなんて、意味不明です。ところでみなさん、第77回の読書週間、つまり、今年の標語って、知ってますか? 知ってる人ー? 私、調べました。 『私のペースで、しおりは進む』だそうです。そう、読書って、自分のペースでいいんです。誰にも惑わされないし、何ごとにも邪魔されない、そういうところも、とってもいいと思いませんか? マイペースな私にはぴったりです」

「少しはお話を進めるために、僕もそろそろ本を読もうとするのですが、本当のことを言うとしおりを挟む前に眠ってしまうんです。で、起きた時には、どこまで読んだか思い出せないんです。読み進めません」

きみと話せる本

ぼくが本を読んだら
きみはふり向いてくれる?
何を読んでるのって
興味を持ってくれる?

何を読んだらいいのか
わからないけれど
きみの好きな本を知りたいんだ

ぼくが本を借りたら
きみは何ていうだろう?
ほかの人と同じように
笑いかけてくれる?

何を借りたらいいのか
わからないけれど
貸出カードはもう準備万端

ほかの図書委員と話しているきみは
クラスのときとは別人みたいに笑顔だから

何を選べばいいのか わからないけれど
きみと話せる本を知りたいんだ

噛み合わない二人の会話は続きます。

「う~ん。本の選び方? 正直なことをいうと『何を読んだらいいですか?』っていう質問がいちばん困るんです。だって、好みって人それぞれでしょう? 好きなものを読んだらいいじゃないですか・・・。え? 好きな本が、ない? ないってどう言うこと? 好きな食べ物ならありますよね? う~ん。理解不能です。」

「あ、今年の日本シリーズは10月28日から。読書週間とかぶります。残念ながら野球を見ながらでは、絶対に本は読めません。」

「何を言ってるのかよくわかりませんね。それはさておき。さあ、みなさん、みなさんも委員会活動に参加をお願いいたします!」

すれちがいの図書室

ここのところ図書室は利用者の少なさが課題
図書室のドアを開けて誰でも入りやすくしています

あのこの姿が見えなくてドアが開いてるのに気づいたよ
恐る恐る近づいて首だけのばしてのぞいたら

「あれ、えーっと、宮野くん?」

あのこの口からぼくの名前が飛び出してきて耳を疑う
珍しい人が来てくれたでもドアの前から動かない

なぜきみはどうしてなぜきみはどうして
ぼくの名前を知ってるの?
図書室に入らないの?

すれちがいの図書室のドアはまだ開いたばかり・・・

同じクラスの男子だけど話すのはたぶん初めてで
図書室もたぶん初めてよねそんなに入りづらいのかしら

不意うちであたまは真っ白身体に電気が走ったよ
目があって声かけられてああどうすればいいのだろう
あのこは少し首をかしげて黒い瞳でぼくを見つめる

いつまでそこに立ってるつもり?
ドアを塞がないでほしいのに

なぜきみはどうしてなぜきみはどうして

ぼくの名前を知ってるの?
図書室に入らないの?

すれちがいの図書室のドアはまだ開いたばかり・・・

「そもそも、あのこが同じクラスだって分かってたら、あんなに毎日図書室の前になんか行かなかったのです。あれから僕は、音楽室に行くようになりました。だってぼく、ピアノ弾けるんです」

「この歌をうたうたびに、ただの本の虫だったあの頃のことを思い出します。聴いてください『あなたに会いに−昼休みの図書室、二年後』」

ステージではそれまではギター二本だったしろくま図書委員会ですが、宮野くんがピアノを担います。

あなたに会いに−昼休みの図書室、二年後

昼休みの図書室は誰もいないから
ほんの束の間あなたに会いに行く
到底いくこともかなわないような
深い森にあなたはすんでる

私は遠くからそっとのぞく
音を立てず静かに表紙をひらいて
心臓の音がきこえるくらいいま近くにいるから
もうだれも邪魔しないで

昼休みの図書室は昨日の続き
とまっていた時計が動き出す
到底みることもかなわないような
ちがう時代にあなたはいきてる

私は遠くからそっとよりそう
透明なまま激しく想いをよせて
熱い呼吸をかんじるくらいいま近くにいるから
この瞬間こわさないで

どんなにあなたに会いたかったか駆け出したら止まらないから
読み進めるほど速くなってゆくその背中追いかけてく

心臓の音がきこえるくらいいま近くにいるから
もうだれも邪魔しないで

「あのこは昼休みだけでなく、放課後も図書室にいます。図書委員の活動って、部活動とはちがうものでしょうか? 週に何度もあるものでしょうか?」

「ここだけの話。いっつも図書室にいるのは、好きなだけ本が読めるから、なんです。。そんなこと言ったら怒られちゃうかな。。でも、図書室に来て、何か困った人がいたら、その人のためになりたいし、いつだって本の整理はしておきたい。楽しいおすすめの本だってあるし、いつ誰が来てもいいように、図書室にいるんです。だから毎日いるに決まっています」

珍しく会話になっています。(進行しないとなりません)

放課後の図書室

光さしこむ窓の向こうは放課後の空
最後のチャイムがなるまで
あと少しもう少しここにいたい

誰かが置きっぱなしの本を片づけたら
今日の仕事はおしまい
さようならさようならまたあした

いつも図書室にいる図書委員は目立たないから
ずっとここにいてもわからないかも
なんてたまに思うの

西日があたって重なり合う本棚のかげ
大きなカーテンをしめたら
けたたましい下校のアナウンス

本と本の間にいる図書委員は目立たないから
ずっと隠れていたらわからないかも
なんてたまに思うの

何かやり残したことがあるかもしれない
最後のチャイムがなるまで
あと少しもう少しここにいよう

「本の中でなら、何にだってなれる。何だって出来る。この無限の楽園に来たい人のために、図書委員はいろんな活動を行っています」と言い出して、図書委員は例のものを装着しはじめます。

「図書委員のあのこは、時々唐突に、伝統のものを取りだすんです。前回お越しの皆さまがた、これが先輩から代々つたわる慣しであることを覚えています? 今回、自らお持ちのかたは、いらっしゃいますか? 今ですよ今。どうぞみなさんご一緒にね。はい、準備できましたか? それで、図書委員の活動、お仕事って、なに?」

「はい、宣誓」

「しろくま宣言」(画像は第一回のものを流用)

わたくし<br />
しろくま図書委員は<br /> 
本を愛し<br />
本に愛される活動を<br />
行うことを<br />
ここに宣言いたします<br />
令和5年10月14日<br />
第三回<br />
しろくま図書委員会<br />

「それが、お仕事ですか?」

「はい、大事なお仕事です!それにね、秋には秋の特別な活動があるので、うたでご紹介しますね。」

比較的この辺り会話が成立しているのは、さすがに物語を進めないとならないからです。

秋のしおり

緑の葉が黄色にかわって通学路に降り積もれば読書の秋ですね
委員会で決めた選りすぐりの本借りてくれたらいいのにな
きれいなイチョウで秋のしおりをつくりました
限定10枚今日から配りはじめます

校舎の入り口も赤く染まって守衛さんの掃除まえに拾い集めたの
私の一押しは世界の詩集人気になったらいいのにな
きれいなモミジで特別なしおりをつくりました
本との時間が素敵になりますように

いちばん上手にできたしおりは最後までとってあるの
わたしたい人が決まってるわけじゃないけど

きれいなカエデで秋のしおりをつくりました
限定10枚急いで早い者勝ちです
きれいなモミジで特別なしおりをつくりました
本との時間が素敵になりますように

「そうか、それで最近、外で葉っぱ拾ってたのか。てっきり掃除してんのかと思った」

「学校の周りでもとてもきれいな葉っぱや、もみじを集めることができるんです。そういえば、『葉脈標本』って知ってますか? アルカリの液体で葉肉の部分を溶かして落とすと、芸術品のような葉脈だけが残るんです。それに色を付けて、しおりにしたりしませんでしたか? とてもきれいで、大切にもっていましたよ。みなさん、『本の住所』は覚えたかな? 覚えておくと、便利ですよ」

本の住所~NDCコードのうた

Fu Fu Fu~
おかえり今日はたくさん返ってきたね
おかえりそれぞれの場所に戻しましょう
本には住所があるんです
1は哲学2は歴史3は社会科学
覚えておくと探しやすいですFu Fu Fu~

まいごにならないように正しい住所に
かえしてあげられたら嬉しいでしょう?
次のブロックへ移動して
4は自然科学5は技術6は産業
ほらね、もっと知りたくなったでしょう?
7は芸術8は言語9は一番多い
文学作品ですFu Fu Fu~

きちんと背表紙を手前にだして
そろえば本もよろこぶ美しい本棚
残すは最後のブロック
0は総記1から9にあてはまらない
本は全部ここへ戻したらおしまいですFu Fu Fu~

装着したもののせいなのか、少しずつ、少しずつ、図書委員に異変が現れ始めます。

「これで読書週間に読む本はばっちりですね。・・・でもね、ここだけの話、本当は私、読書週間には、不満があるんです。だって、たったの二週間ですよ。短くないですか?学校も学校です。読書週間になると途端に、読んだ本の記録をとらせたり、クラスで本の紹介をさせたりします。だけど、たったの二週間でおしまいです。なかには、そのときだけ本を読んだら、あるいは、読んだふりをすればいいんだって、勘違いしてる人もきっといます。本の世界は無限に自由なんだから、毎日が読書の日、一年中、読書週間にしたっていいと思うんです」

図書委員のあのこは、普段は大人しくていい子のふりをしていますが、伝統のそれをつけると、思い切りのいい本性が現れ、いえ本音が言えるようになってまいります。

「そもそも、どんなにカウンターで待ってたってそんなに人が来るわけじゃない、この現状を打破しなくてはなりません。借りに来る人なんて大体決まってるし、そんな人たちは、勝手に読んでて困る人なんていないし。図書委員なんて必要ないじゃないですか!だからこそ、耳までつけて、真面目に毎日活動しているのに、信じられないことを平気でやる人ってどこにでもいるものです」

絶対禁止

気温25度以上は禁止です汗をかいてしまうから
本がよごれてしまうから気温25度以上は禁止です

食べながらなんてもってのほか手を洗ってきてください
本がよごれてしまうから飲食禁止は常識です

図書室の本には透明なカバーフィルムがはってあるけど
決して万能じゃないんです大事にしてほしいんです

ページを折るのは禁止です一度折ったらもどらない
本がいたんでしまうからページを折るのは禁止です

線をひくなんてもってのほかあなたの本じゃありません
本がいたんでしまうからあとの人だって困ります

図書室の本を大切にできない人は来ないでください
あなたは出入り禁止ですホントはそう言いたいけれど

よごれた本をみるとかなしくなる
いたんだ本はかわいそうだから私の中では絶対禁止!
図書室の本はいつだって手にとる人を待ってます
みんなの役に立つためにあなたの役に立つために

図書委員の本音は、堰を切ったように止まりません。

「だいいち、今どき読書週間って何ごとでしょう? 100年前ならいざ知らず、人に勧められないと本が読めないなんて。忙しい忙しいとか言って、本を読む時間も作れないってことでしょうか? そんな人はきっと、人に勧められないと、、、お風呂にも入らないに違いありません。においます。あれ、なんか・・・、言われてみれば、なんかにおうかも? 気のせいではありません。汗をかいているのでしょうか!」

宮野くんはたまらず、暴走する図書委員のフォローに回ります。

「みなさん、落ち着いてください。においません。決して、においませんから。かがないでください。図書委員のあのこもああ見えて、きっと普段、いろいろなストレスがあるのでしょう。時々、よく分からないことを言います。100年ってね、日本図書館協会が1924年に制定した図書週間っていうのが最初っていう歴史の話をはじめたの。ちなみに100年前に皆さん毎日、お風呂に入っていたのでしょうか。ご存知でしょうか」

「すれちがいの図書室。パート2。たかが本されど本。聴いてください」

たかが本されど本

本を読まないぼくはきみと話す権利も
きみの目線の中にうつることもないのかい

本を読まない人をうらんだこともあったわ
なぜみんな図書室にきてくれないのと

たかが本されど本本は読まなければならないもの?
たかが本されど本本は読みたくて仕方ないもの
すれちがいの図書室の書架は静まり返るばかり

本を並べる君の背中を何度見ただろう
君がすすめるならばどんな本も手に取るさ

本を読む読まないは結局その人の自由ね
ただ私は図書室であてもなく待つだけ

たかが本されど本本が苦手なぼくは罪なおとこ
いいえ本それは本言葉の使い方まちがってるわ

たかが本されど本紙の束だと思えばこわくない
いいえ本それは本世界で一番すてきなもの
すれちがいの図書室の書架は静まり返るばかり

ここで、小休止。図書委員の名前を呼ぶことのできない宮野くんの設定のせいで、柏原はねみの自己紹介の時間は、ここまで遅くなります。今回の制服風の衣装のスカートの長さから、教室っぽい演出、あ、面倒だからここにはもう写真を貼りましょう。

個展

告知。次回、1月のライブでは皆さんの書き初めを募集いたします。

本が好きなきみを

世の中に本屋さんがあることは知ってたよ
沢山の棚があって全部は読めないはず

おそるおそる手にするもどれもこれも難しそう

ただどんな本を見てもきみを思い出す

いろいろな本があってこんなのも読むのかな
文字じゃない絵ばかりの写真だらけの本も

おそるおそる手にしても開かないようなものも

ただどんな本を見てもきみを思い出す

僕の知らない世界に
きみは住んでいるみたい
だけど近ごろどこにでも
本があることに気づいた

いまどんな本を見てもきみを思い出す

本が好きな図書委員を追いかけて、本屋さんにも立ち寄るようになった宮野くんは、学区内に図書館が移転してくる事実を回覧板で知り、夢のような作戦を思いつきます。図書館のオープンの土曜日、試合の多い秋だけれども、その日だけは雨が降ればいいなと、願うのでした。

さきまわり

きみは気がついているのかな回覧板とか読むのかな
僕らの学区に図書館が来るんだって

さきまわりしてみたよ桜まつりの公園が
いつのまにか鋼鉄の衝立に仕切られて

まさかまさかときみが驚く顔が見たい
まさかまさかの大逆転を僕が見せる

きみは気づいているだろな壊れそうな中央図書館
僕らのまちに建て替わる予定

さきまわりしておこうきみは必ず来るだろう
野球ばかのそこにいる筈のない僕がいる

まさかまさかときみが驚く顔が見たい
まさかまさかの大逆転を僕が見せる

きみが立ち寄るはずの棚の脇に陣取って
でもなにか、読んでないとだめかな。だめだろな

きみはいつごろ現れるやっぱり初日に来るのかな
オープンの予定だけは調べとこ
試合の日じゃないといいな

「よく晴れた土曜日。新しい図書館がついに、オープンしました。どんな本があるんだろう、また一つ、大好きな場所ができました」

しろくま図書委員会の物語のオチは、一行でつくようになっています。

図書館へつづく道ー私編

通学路をそれていちょう並木の下
風に背中を押されるようにかばんを抱えて急ぐ

新しい図書館でたくさんの本に出合える
それだけで胸がいっぱいになる

好きなことを好きと言える
そんなふうに生きていける
図書館へつづく道を今日も歩いてゆく

昨日の続きのあの本の棚は
2階の奥の3段目急いでのぼる階段

閉館の時間まで新しい本を探そう
まだ見ぬ出会いにときめいてる

好きなことを好きと言える
胸をはって好きと言える
図書館へつづく道は明日へつづいてく

好きなことを好きと言える
それだけで前を向ける
図書館へつづく道は金色にかがやいてる

「本日もご来場、どうもありがとうございました。最後まで、帰らずにいてくれてありがとうございます。皆さんご心配の物語は、まだまだ続いて参ります。例えば、宮野くんのおばあちゃんの」

思わず描きかけのお話をし始めたのを遮るように、図書委員がワンツースリーのカウント。

私は誰より図書委員

幸せをつかむなら後ずさりしてちゃだめね
本からそう教わった私は無敵な図書委員

読めば読むほど重なる経験どんな敵だって怖くない
縦横無尽に駆け抜けたパラレルワールドはここかしこ

本の世界は無限の世界
迷い込んだら戻れない?いいえ心配はいらないわ
チャイムがなればここはいつもの図書室だから

悲しみをいやすなら背中を向けてちゃだめね
本からそう教わった私は夢見る図書委員

読めば読むほど重なる人生高くなってく経験値
以心伝心で共鳴したあの人たちはいまいずこ

さあ あなたも本を手にとって
素敵な体験重ねましょ初めてだって大丈夫
本の借り方探し方教えてあげるから

貸出カードは5枚目校内一位じゃないけれど
何でも聞いてください私は誰より図書委員

何でも応えてあげる私はあなたの図書委員
初めてだって大丈夫
でも貸出カードだけは忘れないでね

夏の第2回で、「図書委員のあのこ」がクラスにいるってわかってから、しばらくしょげていた宮野くんですが、秋の第3回では図書館へ「さきまわり」してみようと思いつくほど、そこまで前向きに、積極的に読書習慣への道のりを歩み始めたのでした。

さて、お話の続きは、いかに。

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本の日スペシャル(2023年11月11日)

11月11日土曜日、赤羽のクロミツファクトリーに於いて、5000円飲み放題ディナーライブを開催いたしました。このお店では前年から四ヶ月に一度ほどのペースで石村吹雪が歌って来ました。という経緯である都合、まずは二曲石村吹雪としてご挨拶ののちの、しろくま図書委員会公演となりました。ご近所の飛び込みのお客様も交えながらの2時間。本の日スペシャルは、2023年総集編です。

「今夜はここから、余談を許さない図書委員とぼくの物語が始まりますが、二部構成で、途中休憩が入りますご安心ください。よろしくおねがいいたします。

皆さんのほとんどは、小学校そして中学校というものを経験されていると思います。僕などは、寝ても覚めても野球のことばかり考えている小学生でした。その後中学校でギターと出会って、やっぱり寝ても覚めてもギターにさわっていました。しかしやがて、別のことに気を取られる年ごろ、というものがやって来ます。みなさんにも、記憶がありましょう。寝ても覚めても図書委員だった、あのころのこと。」

ねてもさめても図書委員

図書委員になるくらい本が好きだったら
家の部屋にもたくさん本があるんだろうな

どんななんだろうな
眠れなくなるほど怖い本もあるらしいけど
そんなの面白いのかな

昔の人が繰り返し歌ってた
ねてもさめても図書委員
ってこういうことなのか
こういうことなんだろうなあ
最近わかる気がする

図書委員を目指すくらい本が好きだったら
授業中も教科書に隠して読んでそう

どんななんだろうな止まらなくなるほど
無我夢中になるらしいけど
あのこもそんななのかな

昔の人が繰り返し歌ってた
ねてもさめても図書委員
ってこういうことなのか
あのこのことが気になるんだ
最近わかる気がする

初めての方のために、舞台設定をご説明。

舞台は昭和時代、どこにでもあった公立中学校。登場人物は二人。本好きの、図書委員の女の子と、その子に夢中になる男の子。その二人だけのお話です。

昭和はどこにでも野球少年のいた時代です。授業中も放課後も夕ご飯の後も、どうやったら遠くにボールを飛ばせるか、という常時喫緊最大の懸案事項が頭を占めている男の子がいたものです。

そんな子が、偶然図書室で見かけた、名前もクラスもわからない地味で目立たない「図書委員のあのこ」のことが気になります。しかし、まだ野球にしか興味のなかった彼には、きっかけがありません。まあだいたい、だいたいそんなお話です。

きみと話せる本

ぼくが本を読んだら
きみはふり向いてくれる?
何を読んでるのって
興味を持ってくれる?

何を読んだらいいのか
わからないけれど
きみの好きな本を知りたいんだ

ぼくが本を借りたら
きみは何ていうだろう?
ほかの人と同じように
笑いかけてくれる?

何を借りたらいいのか
わからないけれど
貸出カードはもう準備万端

ほかの図書委員と話しているきみは
クラスのときとは別人みたいに笑顔だから

何を選べばいいのか わからないけれど
きみと話せる本を知りたいんだ

「こんばんはあらためまして、しろくま図書委員会と申します。今夜は、2023年に始まった、しろくま図書委員会の世界にお付き合いください。」

「こちらが、本に夢中の図書委員。そして僕が、図書委員に夢中の宮野くんと、実はここからは名前も変わりますよ。手がこんでるんです。」

石村吹雪から宮野馨へ、たったの一行でキャラクタ転換です。見た目も口調も変わりありませんが。

ギターイントロとともに、ご紹介を始めます。「さあまずは、図書委員のあのこに、自己紹介がてら歌っていただきましょう、タイトルは、本が好き」

本が好き

本が好き なによりも だれよりも いつからか
開くたび 明かされる ひみつの予感に胸がさわぐ
本が好き 厚ければ 厚いほど 好きになる
めくるたび 深くなる 世界のとりこになってゆく

翼がなくても飛んで行ける
このまま行方不明になってもいい
明かりがなくても進んで行ける

以下略

続いてやはりギターイントロとともに、宮野くんのご紹介を始めます。「続きましては、図書室で見かけたあのこに夢中になったものの、本が苦手な宮野くんに歌っていただきましょう。タイトルはずばり、本はにがて。張り切って歌っていきましょう」

本はにがて

一番省略

パパはね起きている間はいつも本を読んでるの
それからお酒を飲む時はいつもテレビ観ているの

だからなのかなママの話は聞こえないの
聞こえないからかなママの声はますます大きく

ママがねパパのことをわるくいうの
あんな大人になってはダメとか
それで僕は本はにがてになったの
学校でも読まないの
宿題でも読まないの
怒られても読まないもん
読まなくても僕死なないもん

今回は総集編。しろくま図書委員会は、今年闇雲に思いつくままに行って来たライブの反省を繰り返し、説明の時間をとにかく短縮することにいたしました。今回ご参加の方は、幸運です。

「この物語は、野球好きな男の子が偶然通りかかった階段の踊り場で、本を読んでじーっと動かない女の子を、図書室の小窓から見つけたところから始まります。その模様を、歌でどうぞ。」

踊り場でシャドウ

コントロールを磨きたくて
誰もいないところを探したよ
こっそり練習できるような
昼休みだれもいない屋上
シャドウピッチ無心で繰り返す
シャドウピッチ無心で繰り返す

急な雨に降られたので
踊り場に降りてきたんだ
かがむと見える窓のはしに
突然誰かが見えたので
シャドウピッチ無心で繰り返す
シャドウピッチ無人の踊り場で

昨日今日でわかったのは
そこは図書室というところ
ここもそこもこの時間には
僕らの他は誰もこない
シャドウピッチ無心で繰り返す
シャドウピッチ無心で繰り返す

さらにイントロにかぶせながらスピーディに展開します。「本が苦手なぼくが、意を決して図書室に潜入を試みます。その場面をどうぞ。」

はじめまして

あらたまってこんにちはとか初めましてとか
言うべきだろうか来たことがない部屋
扉を引くと思ったよりも大きな音がして
首をすくめても 誰も気にしない部屋

会いたいというよりも みていたいと言うべきか
そんな理由ではだめだろなと背を丸めて忍ぶ書架

覗いていた窓の向こうは意外に広くて
摺り足で探す身を隠しながら
息を止めて目だけ使ってあの子を見つけて
鼻すする音が世界にこだまする

後ろ姿ではなく読んでみたい名札や
肩や背の高さ色々と 調べもののあるふり

会いたいというよりも見ていたいと言うべきか
そんな理由ではだめだろなと肩をすくめ忍ぶ書架

「一方、図書委員は、ただただ本に夢中です。皆さんは、覚えていますか?あるいは、ご存じでしょうか? 本に夢中な図書委員は、いつでも図書室へ向かって走っていくのです。」

世界は図書室から始まる

靴音を響かせて 小走りになる早く早く 急き立てられる
言葉が あふれだす空の下もう私は本の中で生きている

どこへも行けやしない 向かう先は決まってるから

世界は図書室に始まり図書室に終わる
最上級に 今 ときめいてる
どんな過去も未来もひみつも 手に入れられる

踏み出せばのびてゆく新しい道先へ先へ急き立てられる
風に つつまれる身体ごともう私は空の中を進んでいる

目をそらすなんてできない何も持たず飛び込んでいく

世界は図書室に始まり図書室に終わる   
遥かかなたの 宙の旅
どんな夢も理想もあこがれも 手に入れられる

世界は図書室に始まり図書室に終わる   
どんなきれい事 並べても
もう私をひきとめることなんて 誰にもできない

前回から、野球少年とは言え育ちのよろしい宮野くんは、ピアノを弾くことになりましたので、ピアノへと移動をします。

その間に、図書委員による独白。「本好きな図書委員にとって、図書室がいかに素晴らしい場所かおわかりいただけたでしょうか。いやいやその前に、『廊下は走ってはいけません』という皆様の心の声が聞こえてきそうですが、思い出してください。中学生だったころ。わけのわからない衝動にかられたことがあるでしょう。ココロはいつも、ここにあらずです。さて、図書室へ駆け込んだ図書委員は、いったいどんな風に過ごしているのでしょうか。」

あなたに会いに−昼休みの図書室、二年後

昼休みの図書室は誰もいないから
ほんの束の間あなたに会いに行く
到底いくこともかなわないような
深い森にあなたはすんでる

私は遠くからそっとのぞく
音を立てず静かに表紙をひらいて
心臓の音がきこえるくらいいま近くにいるから
もうだれも邪魔しないで

昼休みの図書室は昨日の続き
とまっていた時計が動き出す
到底みることもかなわないような
ちがう時代にあなたはいきてる

私は遠くからそっとよりそう
透明なまま激しく想いをよせて
熱い呼吸をかんじるくらいいま近くにいるから
この瞬間こわさないで

どんなにあなたに会いたかったか駆け出したら止まらないから
読み進めるほど速くなってゆくその背中追いかけてく

心臓の音がきこえるくらいいま近くにいるから
もうだれも邪魔しないで

ここで、30分ほどの休憩になりました。みんな飲んでいらっしゃいます。追加オーダーもするし、トイレにも行くわけです。

そして休憩終了の合図は、エレピを弾きながら「図書委員と僕、というテーマから始めたために、図書委員だとか図書室だとか、そういう言葉でばかり歌を作って来ましたが、当然、本をめぐる環境、場面はいろいろです。ですから、やがて作品も自然と図書室の外へも目を向き始めました。これから演奏するのは、なんと今月の新曲です。とは言え、今年は毎回新曲ばかりやってきたのですが。」

ミラクルレビュー☆ブックレビュー

星の数ほど 本があって 開けば広がる ミルキーウエイ
さあ一緒に 船をだそう きみとどこまでも 進んでゆくよ

ミラクルレビュー ブックレビュー
きせきの一冊 見つけましょ
ミラクルレビュー ブックレビュー
あなたの一冊 教えてね 本よりステキなものはない

  花の数ほど 本があって 誘われる私は みつばち
さあ一緒に 飛び回ろう棚から棚へと 自由自在に

ミラクルレビュー ブックレビュー
まばたきさえも 許さない
ミラクルレビュー ブックレビュー
一瞬でハートを つかむから本よりときめくものはない

  伝え合うほどに 高まる鼓動
本の力を信じてる 合言葉は「本が好き」(本が好き)

ミラクルレビュー ブックレビュー
きせきの一冊 探しましょ
ミラクルレビュー ブックレビュー
私の一冊 手に取って 本より夢見るものはない

そのまま、エレピを弾きながら「しろくま図書委員会は、夏休み時期にもライブをやりまして、いわば夏の思い出ともいうべき楽曲がございます。さらには、いよいよ謎のしろくま図書委員の秘密にも迫りながら、お送りします。あのこの秘密」

あのこの秘密

ある日 見てしまったんだ 図書委員のあのこが
 白い耳をつけて何か読み上げているところ
すこし 恥ずかしそうに図書委員のあのこは
 白い耳にふれてそしてまっすぐ顔あげた
真面目なこ と思ってたのに
本のためなら何でもするんだな
だけど 今までで一番 誇らしげだった
いつもみてる ぼくがいうんだから まちがいない

以下略

あのこの秘密がワンコーラス終わるまでの間に、図書委員はギターおよび、あれの装着。そしておもむろに、掌を掲げ

「しろくま宣言」(画像は第一回のものを流用)

わたくし<br />
しろくま図書委員は<br /> 
本を愛し<br />
本に愛される活動を<br />
行うことを<br />
ここに宣言いたします<br />
令和5年11月11日<br />
第四回 本の日スペシャル<br />
しろくま図書委員会<br />

いよいよ堂に入ってまいりました、しろくま宣言。もう誰も困るものはありません。

ついて来られない者はありません。定着したなあ。しみじみ。そして、夏の思い出、ホイッスルから

夏のしろくま行進曲ーとなりの小学校編

ひまわりのような笑顔でひかりのなかを歩いてく
どんなに暑くても負けない私たち しろくま図書委員

夏休みが始まる前にきちんとつくっておきます
課題図書のご案内 見に来てね

白い耳がトレードマーク笑われたってくじけない
いつでも誇り高くあるの私たち しろくま図書委員

夏休みも3回だけだけど図書室を開放します
自由研究の調べものしに来てね

あさがおのように毎朝欠かさず本をひらきます
せみたちの声にも負けない私たち しろくま図書委員

「本日は総集編ですが、細かいお話は割愛させていただきます。この物語の中学校の名前や、それにこの耳がその学校の図書委員会の伝統であるといったことは、これまでのライブでお話してきました。ですし、そんなことより、かわいさが優先です。みなさん、どうですかー?この日のリハーサルでもかわハラと称されながらも、迷わずかわいいを促す図書委員。

大切な記録。「かわハラ」とおっしゃったのは、会場のクロミツファクトリーのマスターです。
つまりはかわハラ行為も、リハーサルをしたということでしょうか。

ありがとうございます。みなさまのそのお声に励まされ、私は、立派な、しろくまになれるのです!」

「ちょっとまって。しろくまじゃないの。僕がお願いしたのは図書委員だからね。耳をつけはじめてから明らかに、作風が変わってますからね。気をつけろよ。」

「 はーい、気をつけまーす」

この辺りの台詞のキャラの主体の在り処についてなど、思えば春は手探りでしたが
あれから半年、なんと軽妙な、洗練されたMCでしょう。

ここで、記念すべきしろくま図書委員会の初期の作品の披露です。秋に作ったために随分後回しになったものの、この曲が生まれたおかげで、図書委員という人種の生態と本音のあぶりだしという、基本方針が固まったと言えるのです。お話に戻りましょう。

「中二の秋、僕は、図書委員のあのこのまねをして、落ち葉を拾って歩いたものでした。もちろん掃除を手伝うつもりで。」

秋のしおり

緑の葉が 黄色にかわって 通学路に降り積もれば 読書の秋ですね
 委員会で決めた 選りすぐりの本 借りてくれたらいいのにな
きれいなイチョウで 秋のしおりをつくりました
限定10枚 今日から 配りはじめます

校舎の入り口も 赤く染まって 守衛さんの掃除まえに 拾い集めたの
 私の一押しは 世界の詩集 人気になったらいいのにな
きれいなモミジで 特別なしおりをつくりました
本との時間が 素敵に なりますように

いちばん上手にできたしおりは 最後までとってあるの
わたしたい人が決まってる わけじゃないけど

きれいなカエデで 秋のしおりをつくりました
限定10枚 急いで 早い者勝ちです
きれいなモミジで 特別なしおりをつくりました
本との時間が 素敵に なりますように

「宮野くんは掃除のつもりと言っていましたが、この歌の通り、図書委員はしおりを作っていたのです。このように、二人はいつまで経っても、果てしなく、すれちがっていくのです。」

すれちがいの図書室

ここのところ図書室は利用者の少なさが課題
図書室のドアを開けて誰でも入りやすくしています

あのこの姿が見えなくてドアが開いてるのに気づいたよ
恐る恐る近づいて首だけのばしてのぞいたら

「あれ、えーっと、宮野くん?」

あのこの口からぼくの名前が飛び出してきて耳を疑う
珍しい人が来てくれたでもドアの前から動かない

なぜきみはどうしてなぜきみはどうして
ぼくの名前を知ってるの?
図書室に入らないの?

すれちがいの図書室のドアはまだ開いたばかり・・・

同じクラスの男子だけど話すのはたぶん初めてで
図書室もたぶん初めてよねそんなに入りづらいのかしら

不意うちであたまは真っ白身体に電気が走ったよ
目があって声かけられてああどうすればいいのだろう
あのこは少し首をかしげて黒い瞳でぼくを見つめる

いつまでそこに立ってるつもり?
ドアを塞がないでほしいのに

なぜきみはどうしてなぜきみはどうして

ぼくの名前を知ってるの?
図書室に入らないの?

すれちがいの図書室のドアはまだ開いたばかり・・・

休み時間のチャイムが鳴ります。総集編の今回も、ここでキャラクタ開放の時間とさせていただきます。何故かと言えば、まだ名乗っていないからです。

「 改めまして、こんばんはー! 柏原はねみですー!しろくま図書委員会のライブは物語の世界なので、必ず、こうしたキャラ解放の時間を途中にもうけています。初めましての皆様、今日は中学生でしろくまですけれど、普段はソロで、弾き語りで、ちゃんと大人の歌をうたっていますので、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、しろくま図書委員会は、今年、春の初ライブから、季節を追って、夏、秋、とライブをすることができました。

思えば一年前の秋、「図書委員にならないか!」という勧誘を受けまして、半信半疑で「本が好き」という歌詞を書いたのが、すべての始まりでした。昭和の公立中学校という懐かしい設定や、私自身、とくに10代は音楽よりも本の虫だったので、そのころの自分のことを書くという作業が、思いの外楽しくできちゃいまして、あっという間にたくさん曲ができました。まあ、しろくまのうたも作っちゃいましたけどね。

でね、作るのも楽しいんですけど、もう一つ、やりたいことがありまして。せっかくの、物語の世界ですから、みなさんにも委員会活動に参加していただきたいんです。参加方法は簡単です。学校といえば、合唱でしょう? 今日はみんなで歌っても大丈夫な、ステキなお店ですから、みんな中学生になって、若返ってください!。」

読書日和(上)

雨の日は読書日和 外で遊べないこと 忘れるくらい夢中になれる
晴れの日は読書日和 光 揺れる本棚で 好きな本たくさん選べる
風の日は読書日和 風雲急を告げるって こんな感じだって思える
月の日は読書日和 何も心配いらないただ本を読んでいられる

永遠に読書日和 好きなだけ読んだら またあした 最初に戻る 雨の日は読書日和

和やかな合唱鳴り響く、赤羽の夜。一歩外に出れば、対岸の川口の花火大会が見えます。すっかり世の中は賑わいを取り戻しはじめた、2023年の秋です。

「お話に戻りましょう。今年前半の物語のクライマックスです。普段どこにいるのかわからない、目立たない図書委員のあのこが、どこのクラスの子だったかが判明する場面、歌わせていただきます。ころがる消しゴムのように。」

ころがる消しゴムのように

まさか教室の後ろの席に座っていたのが
あのこだったと知ってからはなんだか落ち着かない

転がる消しゴムのように
あのこの近くへは行けない
ボールのように角をとって
丸くしたらどうかなってこする

あの日落とした消しゴムがなんと珍しいことに
真後ろに転がったせいであのこが拾ってくれた

転がる消しゴムのように
あのこの近くへは行けない
もいちど狙って落としても
だいたい隣に転がってしまう

こするこする手の中でこっそり
まるくまるくボールならおてのもの
偶然と必然は紙一重こんな近くにいたのね
ありがとうっていいたいなうまくやればもういちど

転がる消しゴムのように
あのこの近くへ行けない
ボールのように角をとって
丸くしたらどうかなってこする

「そんな宮野くんに対して一方、図書委員のあの子は、教室の中ではどんな様子でしょうか。」

妄想モンスター

教室ではいつも大人しくしてるけど
ホントは本のことで頭フル回転
登場人物の行動 思考回路をトレースして
先の先まで読み解くの 想像を超えて行け

今日もやってきた 妄想モンスター 私の耳元でささやく
さあ剣を取って闘うのです! 石畳に気を付けて
あの港まで一気に 走りぬけるのです!
(もう、そうは 止められない  もう、そうじゃ ありませんって もう、そうね そういうしかないね)

授業中はいつも前を向いているけれど
ノートの片すみは落書きでいっぱい

波乱万丈で爽快な 紆余曲折のストーリーに
山あり谷あり裏切りも 大事なスパイスなの

今日もやってきた 妄想モンスター
私をわしづかみにして さあ
ハッチを開けて飛び出すのです! 面食らう敵をしりめに
大海原をこえて 風をつかむのです!
(もう、そうは 止められない  もう、そうじゃ ありませんって もう、そうね そういうしかないね)
(もう、そうは そのままで  もう、そうに 身をゆだねて  もう、そうね 早々に降参)

今日もやってきた 妄想モンスター
私がいれば負け知らず でも
先の展開は本の中 まだまだ授業は終わらない
次のページはお預け 早く早く終わらせて
(もう、そうは 止められない  もう、そうじゃ ありませんって  もう、そうね そういうしかないね)
(もう、そうは そのままで  もう、そうに 身をゆだねて  もう、そうね すべて受け止めて)

「皆さんお気づきでしょうか?この二人は教室で、わずか50センチほどしか離れていないのに、まるで違う世界を生きているのでした。しかし現実世界にも、こういうことは、ままあります。

さきほどは すれちがいの図書室をお送りしましたが、好評につき第二弾を作りました。すれ違いの図書室第二弾、たかが本、されど本、みなさん一緒に歌いましょう。」

たかが本されど本

本を読まないぼくはきみと話す権利も
きみの目線の中にうつることもないのかい

本を読まない人をうらんだこともあったわ
なぜみんな図書室にきてくれないのと

たかが本されど本本は読まなければならないもの?
たかが本されど本本は読みたくて仕方ないもの
すれちがいの図書室の書架は静まり返るばかり

本を並べる君の背中を何度見ただろう
君がすすめるならばどんな本も手に取るさ

本を読む読まないは結局その人の自由ね
ただ私は図書室であてもなく待つだけ

たかが本されど本本が苦手なぼくは罪なおとこ
いいえ本それは本言葉の使い方まちがってるわ

たかが本されど本紙の束だと思えばこわくない
いいえ本それは本世界で一番すてきなもの
すれちがいの図書室の書架は静まり返るばかり

「ありがとうございますありがとうございます。そろそろ放課後の時間です。図書委員はいつもの仕事に向かいます。ワンツースリー」

とにかく冗長にならないように、決して飽きが来ないように、飛ばしていくのです。

私は誰より図書委員

幸せをつかむなら後ずさりしてちゃだめね
本からそう教わった私は無敵な図書委員

読めば読むほど重なる経験どんな敵だって怖くない
縦横無尽に駆け抜けたパラレルワールドはここかしこ

本の世界は無限の世界
迷い込んだら戻れない?いいえ心配はいらないわ
チャイムがなればここはいつもの図書室だから

悲しみをいやすなら背中を向けてちゃだめね
本からそう教わった私は夢見る図書委員

読めば読むほど重なる人生高くなってく経験値
以心伝心で共鳴したあの人たちはいまいずこ

さあ あなたも本を手にとって
素敵な体験重ねましょ初めてだって大丈夫
本の借り方探し方教えてあげるから

貸出カードは5枚目校内一位じゃないけれど
何でも聞いてください私は誰より図書委員

何でも応えてあげる私はあなたの図書委員
初めてだって大丈夫
でも貸出カードだけは忘れないでね

「本は借りたら返しましょう。最後の歌が終わったらアンコールです。そこまでは、時間割どおりです。」会場には、セットリストが配布されているのです。

本の住所~NDCコードのうた

Fu Fu Fu~
おかえり 今日はたくさん返ってきたね
おかえり それぞれの場所に戻しましょう
本には 住所があるんです
1は哲学 2は歴史 3は社会科学
覚えておくと探しやすいです Fu Fu Fu~

まいごに ならないように正しい住所に
かえして あげられたら嬉しいでしょう?
次の ブロックへ移動して
4は自然科学 5は技術 6は産業
ほらね、もっと知りたくなったでしょう?
7は芸術 8は言語 9は一番多い
文学作品です Fu Fu Fu~

きちんと 背表紙を手前にだして
そろえば 本もよろこぶ美しい本棚
残すは 最後のブロック
0は総記 1から9に あてはまらない
本は全部ここへ 戻したらおしまいですFu Fu Fu~

こうして、2023年の総集編ライブ、無事に終了したのでした。時間割通りの、アンコールに雪崩れ込みます。

「今日は総集編。今年、物語は春夏と進み、そして秋には、現実に近所にやって来た図書館を題材にして歌を作ってみました。図書委員こと、柏原はねみが素晴らしい歌詞を書いてくれました。ぜひ最後に皆さんに聴いて欲しい一曲です。」

図書館へつづく道ー私編

通学路をそれていちょう並木の下
風に背中を押されるようにかばんを抱えて急ぐ

新しい図書館でたくさんの本に出合える
それだけで胸がいっぱいになる

好きなことを好きと言える
そんなふうに生きていける
図書館へつづく道を今日も歩いてゆく

昨日の続きのあの本の棚は
2階の奥の3段目急いでのぼる階段

閉館の時間まで新しい本を探そう
まだ見ぬ出会いにときめいてる

好きなことを好きと言える
胸をはって好きと言える
図書館へつづく道は明日へつづいてく

好きなことを好きと言える
それだけで前を向ける
図書館へつづく道は金色にかがやいてる

11月1日の本の日にちなんで、本の日スペシャルと名付けた2023年の総集編をお送りしました。もちろん、いわゆる本の日であるところの11月1日には、本日の合唱曲である読書日和をYoutubeに公開して臨みました。ありがとう、本の日。そんな日があったなんて、知らなかったよ。

次回、しろくま図書委員会は、年明けて1月27日土曜日です。皆さまにおかれましては、書き初めをお送りください。送り先は、

〒112-0004 東京都文京区後楽2−2−15 早川ビル201 シブイオンガクスタヂオ内 書き初め係まで

締め切りは、2024年1月15日とさせていただきます。もちろんお題は、好きなこと。好きなことばを、書いてください。

個展
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ハッピーしろくまイヤー♪(2024年1月27日)

しろくま図書委員会のライブは春夏秋と来て、冬です。いよいよ四季がひとまわり。 一年前に作っておいた歌を中心にお送りします。 とはいえ、ありがたいことに毎回初めてお会いするお客さまがありますので、設定を簡単にご説明。  

さて、しろくま 図書委員会の舞台は昭和の、中学校です。野球にだけ夢中だった宮野くんという男の子が、ある時から本好きの女の子、そう、図書委員のあのこに、気を取られるようになります。そんな年頃の、お話です。

春夏秋とライブを重ねて来たため、ここで長い口上は無用と学習しました。なのであっさりと、図書委員のあのこ、の紹介です。

そして流れるように、一曲目です。三学期はじめのPRソング。この曲の中で本の魔法を繰り出す図書委員は今回、鈴を使用しました。花吹雪をやりたかったのですが、のっけからステージにちらばってしまい片付けられない、お客さんのお食事にかかってしまったらどうしよう、などの懸念があり、断念しました。

ハッピーしろくまイヤー♪

新年明けて 今年こそと
気合入ってる あなた

気になる人に 今年こそは
接近したい きみも

しろくま図書委員会が
しっかりお手伝いいたします

図書室の扉は魔法のトビラ
ひらけ、しろくまイヤー!
明日のあなたを輝かせる
本を探してあげましょう
ハッピーハッピーしろくまイヤー

読書習慣 身につけたら
向かうところ 敵なし

成績だって うなぎのぼり
問題解決 ザッツオーライ!

しろくま図書委員会は
心底ユーザーフレンドリー

図書室の書架は呪文の宝庫
いでよ、しろくまイヤー!
昨日のあなたもびっくりの
本を見つけてあげましょう

ハッピーハッピーしろくまイヤー

一期一会の出会いでも
本の魔法は一生続く
どんな未来がこようとも
しろくまが応援します!

ハッピーニューイヤー
ハッピーしろくまイヤー
ハッピーニューイヤー
ハッピーしろみみイヤー

図書委員よりさらに設定のお話。「私達は若葉第一中学校の生徒です! そして、しろくま図書委員会は、ときどき図書室のPRソングを作って、Youtubeはもちろん、校内放送で流しているんです」。

そしてこれが、結構しつこく流れるんです。給食の時間とか、掃除の時間。だからみんなだいたい、知らないうちに覚えてしまうんです。中学生の記憶力って大したもんだったでしょう?これが今回の伏線です。  

お話は秋のシーンへ戻ります。

秋、あのこの真似をして宮野くんは落ち葉を集めたりしていました。しかし、話しかけるどころか、あのこの名前もまだ呼べません。

そんな中、図書館の移転のニュースを知って、宮野くんにわかに色めき立ちます。

さきまわり

きみは気がついているのかな回覧板とか読むのかな
僕らの学区に図書館が来るんだって

さきまわりしてみたよ桜まつりの公園が
いつのまにか鋼鉄の衝立に仕切られて

まさかまさかときみが驚く顔が見たい
まさかまさかの大逆転を僕が見せる

きみは気づいているだろな壊れそうな中央図書館
僕らのまちに建て替わる予定

さきまわりしておこうきみは必ず来るだろう
野球ばかのそこにいる筈のない僕がいる

まさかまさかときみが驚く顔が見たい
まさかまさかの大逆転を僕が見せる

きみが立ち寄るはずの棚の脇に陣取って
でもなにか、読んでないとだめかな。だめだろな

きみはいつごろ現れるやっぱり初日に来るのかな
オープンの予定だけは調べとこ
試合の日じゃないといいな

あの秋、学区の中に出来た新しい図書館。オープンの日はステキな秋晴れとなり、宮野くんは野球の試合。「さきまわり計画」は実現しませんでした。しかし、その後宮野くんはこっそりと、学校の図書室ではなく、図書館に出かけるようになったのです。

図書館へつづく道ーぼく編

君のそばに いられたらいいのに
晴れた空を みあげておもう
歩く君の 隣にいられたら
同じはやさで ときがながれる

公園のベンチで たくさん本をかかえて
うれしそうに笑う きみを見つけたよ

新しい図書館が ぼくらの街にやってきて
またひとつ きみの好きな場所がふえたね

届きそうで 届かない僕の声
いっそ遠く はなれてみれば
いつもみてる 君の背中ごしに
大きな夕日が 沈んでゆくよ
新しい本を また今日も借りてきて
いつまでもきみは 本に夢中なんだ
秋風に舞ういちょう 金色に輝く街
ながくのびる きみの影がぼくに重なる
いつかぼくの自転車でおくってあげたいな
図書館つづく道 その先までもずっと

学校の図書室にくらべてずっと大きな図書館で、宮野くんは本の借り方返し方をマスターしました。余裕が出て来たのか、秋にあの子が言ってた「世界の詩集」も、どこに置いてあるのかなと探し始めます。

一方の図書委員は、宮野くんがそんな努力を重ねているとは露知らず、図書室で、季節にあわせたおすすめの本コーナーを作っています。春には春の、夏には夏の、そして冬には冬のおすすめがあるのです。

冬のおすすめ

木枯らしが吹いて 冬の足音 聞こえたら
あたたかい部屋で読書が おすすめです

皆なで作った季節のコーナー
冬は意外とイベントが多いから
クリスマスだったり 大晦日だったり
いろんな本を集めてあるから
きっと見つかるはず きっと読みたくなる
すてきな本を集めてあるから きっとね

テストが終わって ほっと一息ついたら
図書室で本をさがすの おすすめです

沢山集めた季節のコーナー
冬は意外と楽しみが多いから

初夢だったり初日の出だったり
冬休みに調べておいたら
きっといい年になる きっと自慢できる
豆知識も本にはたくさん あるから

初詣だったり お年玉だったり
いろんな本を集めてあるから
きっと見つかるはず きっと読みたくなる
おすすめの本集めてあるから きっとね

宮野くんは図書館の中でひときわ人の少ない詩、短歌、俳句のコーナーで、あのこの推していた「世界の詩集」をそのまま借りるのはなんとなく気恥ずかしいので、べつの詩集をいくつか、借りはじめてみています。

図書委員からのおすすめは続きます。「この世界には、素晴らしい言葉を届けてくれる本や、時代をこえて共感できる、ステキな本がたくさんあります。冬ならではの本のうた、きいてください」。

雪のたより

雪がふるのを? 待ってるの 
部屋の電気を? 消したまま

ほの明るい? 曇り空から 
ふわりふわりとやってくる

それは、天からの手紙 
そう言ってた博士がいたの
もしかしたら今のわたしと
同じ気持ちかも知れない

息をころして? 待ってるの 
部屋の扉を? 閉めたまま

かすかな音? 耳をすませば
ひらりひらりと落ちてくる

昔、雪の結晶を
本にした殿様がいたの
もしかしたら今のわたしと
同じ気持ちかも知れない

雪のたよりは時をこえ
こうして私にも届く
雪の本をながめながら
今日も私は待っている

図書委員による楽曲解説コーナー

1番に出てきたのは、1936年に世界で初めて、人工雪をつくることに成功した、中谷宇吉郎先生の言葉です。「雪は天からの手紙である」。とても詩的な言葉ですが、これは雪の研究の中から生まれた、科学者としての言葉でもあるんですね。2番に出てきたのは、日本で初めて、雪の結晶を観察して図鑑にまとめた、江戸時代のお殿様、土井利位(どいとしつら)の『雪華図説』です。この方は江戸幕府の老中までつとめたお殿様ということで気になる人は調べてみてください。

図書委員はこんな、教科書にないようなことをこんなふうに、よどみなく紹介してみせます。

一方で無事に図書館で本を借り始めた宮野くんの方は、詩は改行は多いし、短くてあっという間に読めてとっつきやすくていいじゃんと、思い始めていました。

気がつけば、冬休みが明けていました。

冬のひだまり

冬の空はどこまでも青く 息は白くて
休み明けの図書室は少し 人が多くて

いつもの席にきみがいない 
ああそうか 光さしこむ場所がかわったから

きみは ひだまりの席で
今日も ゆっくり本のなか

冬の日差しいっぱい背中に 受けながら
ページめくるたび揺れて光る 結んだ髪

そこは冬の特等席
ああだけど 冬は明るい時間が短いから

きみは しんけんな顔で
今日も ずっと本のなか

どこへ行けばきみに会えるのか
わかったけれど どうしたらいいのかな

きみは ひだまりの席で
今日も ゆっくり本のなか

きみは しんけんな顔で
今日も ずっと本のなか

冬のひだまりで静かに本を読んでいる図書委員を、相変わらずこっそり眺めるだけの宮野くん。しかし、だんだん詩というものに興味が湧いて来ました。おまけになんとなく、自分の好きなことをぶつ切りにして並べたら、詩になるんじゃない?五七五のほうが余程むずかしい、と思うようになりました。自分にもかけそうな気がして来ています。

あのこの秘密

ある日 見てしまったんだ 図書委員のあのこが
 白い耳をつけて何か読み上げているところ
すこし 恥ずかしそうに図書委員のあのこは
 白い耳にふれてそしてまっすぐ顔あげた
真面目なこ と思ってたのに
本のためなら何でもするんだな
だけど 今までで一番 誇らしげだった
いつもみてる ぼくがいうんだから まちがいない

以下略

ライブ会場では宮野くんのソロピアノによる、あのこの秘密をバックに、図書委員は儀式にとりかかります。お客さまにも同じ装いを促し、

「しろくま宣言」(画像は第一回のものを流用)

わたくし<br />
しろくま図書委員は<br /> 
本を愛し<br />
本に愛される活動を<br />
行うことを<br />
ここに宣言いたします<br />
令和6年1月27日<br />
しろくま図書委員会<br />

厳かに静まり返る客席。間髪をいれず演奏します。

あなたに会いに−昼休みの図書室、二年後

昼休みの図書室は誰もいないから
ほんの束の間あなたに会いに行く
到底いくこともかなわないような
深い森にあなたはすんでる

私は遠くからそっとのぞく
音を立てず静かに表紙をひらいて
心臓の音がきこえるくらいいま近くにいるから
もうだれも邪魔しないで

昼休みの図書室は昨日の続き
とまっていた時計が動き出す
到底みることもかなわないような
ちがう時代にあなたはいきてる

私は遠くからそっとよりそう
透明なまま激しく想いをよせて
熱い呼吸をかんじるくらいいま近くにいるから
この瞬間こわさないで

どんなにあなたに会いたかったか駆け出したら止まらないから
読み進めるほど速くなってゆくその背中追いかけてく

心臓の音がきこえるくらいいま近くにいるから
もうだれも邪魔しないで

ライブ演出として、ここで例のキャラ解放の自己紹介およびMCの時間になります。何はなくとも、かわハラパフォーマンス。

  1. かわハラの、効能説明
  2. ポジティブワードを大きな声でいうとね、自分の脳も元気になるんですよー。若返りです!

    (写真)

  3. 会場演出としての、お習字展示のご案内
  4. 学校らしさが一気に盛り上がります。また、ライブアンケートでリクエストされた文字列や、募集に応じてくださった方の作品が入り乱れ、祝祭感さえあります。今回は26枚の紙を掲げました。

  5. 若返り策としての、合唱の時間
  6. お手元の歌詞カードをご覧ください。今日はみんなで、読書日和の下を歌いましょう。

    読書日和(下)

    雲の日は読書日和 ふかふかのあの上なら ずっと本を読んでいられる
    秋の日は読書日和 だって「読書の秋」だって 昔からそう言われてるし
    雪の日は読書日和 いつもの音が消えて 本の世界の音がきこえる
    星の日は読書日和 見上げた星座の向こう あなたをかんじられる

    永遠に読書日和 好きなだけ読んだら またあした 最初に戻る 

  7. しろくまーっ
  8. 昨年夏より、しろくま図書委員会ライブにおいて掛け声は、「しろくまーっ」でお願いしますと、再三にわたりお願いして来ました。昨年末に、白熊と四股名をかえたお相撲さんがいて、この初場所では、本物の、「しろくまーっ」が国技館で聞こえました。どうぞそちらをお手本にして今後は一つよろしくお願いいたします。

  9. 今回のお話の要約
  10. 宮野くんは、さんざん不審者的な動きをしてしまった学校の図書室には今さら行きにくいので、図書館に行ってみたわけです。何を借りるかはともかく、本を借りる、返すのルールを覚えて、図書室には、スマートに行こうというトレーニングね。

    もしも借りたら

    もしも借りたら
    読まずにはいられない気持ちになるのかな

    もしも借りたら
    期限には返すようちゃんと読めるかな

    今日の日よさようなら
    夢で読みましょう
    決してよだれが濡らさぬように
    気をつけましょう

    もしも読んだら堂々と
    あのこの前に行けるかな 

    もしも読むなら
    できるだけ薄くて
    イラスト多い本

    もしも期限が守れずに
    読みきれなかったらどうしよう

    さあ今夜も布団で
    頑張って読みましょう
    朝はよだれに塗れた
    頁をぬぐいましょう

    もしも返しに行くならば
    最初はあのこのいない隙に

    もしも借りたら返す時
    次にはあのこのいる午後に
    もしも読めたら堂々と
    返しに来たよと言えるかな

    あのこの前に立てるかな
    あのこの前に立てるかな

  11. もしも借りたら が もしも明日が に似せてある件
  12. 歌詞の文字数だけ合わせて歌詞を書きました。だから、あのメロディにこの歌詞はすっぽり乗るのです、の実演。カラオケで、もしも明日が、を流しながらもしも借りたら、を歌ってみた動画を募集します。

  13. 以上、キャラ解放中の話題の箇条書き
雪の日も本のなか

午後から降り出した 雪の日の図書室は
いつもより静かで 上履きの音も響かない
本が音を吸い込んで 雪が音を吸い込んで

雪が積もる間 どんな本を読もうかな
ときどき窓の外 見たりなんかしながら
見慣れた街も木々も 少しずつ白い帽子かぶって
まるで本の中の世界みたいになる

下校時間が早まった 雪の日の図書室は
もう片づけの時間 貸し出しが終わる前に
借りてゆく本選んで ていねいに本選んで

明日は休みだから 長い本を読みたいな
やがて雪がやんだら 窓を開けてみたりして

晴れた夜空にのぼる 白い月照らす雪の野原
まるで本の中の世界みたいになる

図書委員の私にとって図書室はいつも学校の中でいちばんの居場所です。とくに、雪の日の図書室は特別なんです。という図書委員の冬の生活を歌います。

さて一方宮野くんは、もう、図書館からいくつか詩集を借りてみるうちに、ひとつ、詩をかいてみました。それを歌えます。と言って歌い出したのが。

野球日和

晴れの日は野球日和
誰より早く出かけよう
その方が長く遊べる

雪の日は野球日和
しろく丸めたボールは
いつまでも打っていられる

風邪の日も野球日和
熱があっても今年の
選手名鑑ずっとみられる

図書委員 「得意満面の宮野くんは、学校放送で耳にしたことのある、読書日和という曲を覚えていたのでしょう。うっかりまるまる、替え歌を作ってしまったのでした。しかも気づいていないようです」

宮野 「本なんかたくさん読まなくても、詩は書けるよ。すごいことを思いついた。この詩を、あのこが勧めていた『世界の詩集』に栞のように挟んだらどうだろう。あのこは、なにか気がつくかな」

考えなしにもほどがあります。宮野くんは初めて書いた詩を紙に書いて、栞のように折れないように、かの『世界の詩集』に挟み込んでしまいました。

たかが本されど本

本を読まないぼくはきみと話す権利も
きみの目線の中にうつることもないのかい

本を読まない人をうらんだこともあったわ
なぜみんな図書室にきてくれないのと

たかが本されど本本は読まなければならないもの?
たかが本されど本本は読みたくて仕方ないもの
すれちがいの図書室の書架は静まり返るばかり

本を並べる君の背中を何度見ただろう
君がすすめるならばどんな本も手に取るさ

本を読む読まないは結局その人の自由ね
ただ私は図書室であてもなく待つだけ

たかが本されど本本が苦手なぼくは罪なおとこ
いいえ本それは本言葉の使い方まちがってるわ

たかが本されど本紙の束だと思えばこわくない
いいえ本それは本世界で一番すてきなもの
すれちがいの図書室の書架は静まり返るばかり
妄想モンスター

教室ではいつも大人しくしてるけど
ホントは本のことで頭フル回転
登場人物の行動 思考回路をトレースして
先の先まで読み解くの 想像を超えて行け

今日もやってきた 妄想モンスター 私の耳元でささやく
さあ剣を取って闘うのです! 石畳に気を付けて
あの港まで一気に 走りぬけるのです!
(もう、そうは 止められない  もう、そうじゃ ありませんって もう、そうね そういうしかないね)

授業中はいつも前を向いているけれど
ノートの片すみは落書きでいっぱい

波乱万丈で爽快な 紆余曲折のストーリーに
山あり谷あり裏切りも 大事なスパイスなの

今日もやってきた 妄想モンスター
私をわしづかみにして さあ
ハッチを開けて飛び出すのです! 面食らう敵をしりめに
大海原をこえて 風をつかむのです!
(もう、そうは 止められない  もう、そうじゃ ありませんって もう、そうね そういうしかないね)
(もう、そうは そのままで  もう、そうに 身をゆだねて  もう、そうね 早々に降参)

今日もやってきた 妄想モンスター
私がいれば負け知らず でも
先の展開は本の中 まだまだ授業は終わらない
次のページはお預け 早く早く終わらせて
(もう、そうは 止められない  もう、そうじゃ ありませんって  もう、そうね そういうしかないね)
(もう、そうは そのままで  もう、そうに 身をゆだねて  もう、そうね すべて受け止めて)

どうしても交わらない二人を描くライブはエンディングへと向かいます。

本の住所~NDCコードのうた

Fu Fu Fu~
おかえり 今日はたくさん返ってきたね
おかえり それぞれの場所に戻しましょう
本には 住所があるんです
1は哲学 2は歴史 3は社会科学
覚えておくと探しやすいです Fu Fu Fu~

まいごに ならないように正しい住所に
かえして あげられたら嬉しいでしょう?
次の ブロックへ移動して
4は自然科学 5は技術 6は産業
ほらね、もっと知りたくなったでしょう?
7は芸術 8は言語 9は一番多い
文学作品です Fu Fu Fu~

きちんと 背表紙を手前にだして
そろえば 本もよろこぶ美しい本棚
残すは 最後のブロック
0は総記 1から9に あてはまらない
本は全部ここへ 戻したらおしまいですFu Fu Fu~

本日の図書委員の最後の台詞。「あれ、私のおすすめの詩集、場所がずれてる。なんだろこれ」  

これにて本編を終了し、アンコールにて告知をさせていただきます。

しろくま図書委員会は、気がつけばたくさん作品ができました。できすぎて、制作をストップしているくらいです。なのでそれを、従来のCDではなく本のようなもので発表していこうと思います。今日はそのお試しの一作をご用意しましたので、皆さん全員、買ってってください。題して「野球日和」。宮野くんがお話の中で、読書日和を知らず知らずパクって書いてしまった設定の歌を、寄せ書き程度の文章と共に小冊子にして販売するテストケースとして用意してきました。一部100円。

すれちがいの図書室

ここのところ図書室は利用者の少なさが課題
図書室のドアを開けて誰でも入りやすくしています

あのこの姿が見えなくてドアが開いてるのに気づいたよ
恐る恐る近づいて首だけのばしてのぞいたら

「あれ、えーっと、宮野くん?」

あのこの口からぼくの名前が飛び出してきて耳を疑う
珍しい人が来てくれたでもドアの前から動かない

なぜきみはどうしてなぜきみはどうして
ぼくの名前を知ってるの?
図書室に入らないの?

すれちがいの図書室のドアはまだ開いたばかり・・・

同じクラスの男子だけど話すのはたぶん初めてで
図書室もたぶん初めてよねそんなに入りづらいのかしら

不意うちであたまは真っ白身体に電気が走ったよ
目があって声かけられてああどうすればいいのだろう
あのこは少し首をかしげて黒い瞳でぼくを見つめる

いつまでそこに立ってるつもり?
ドアを塞がないでほしいのに

なぜきみはどうしてなぜきみはどうして

ぼくの名前を知ってるの?
図書室に入らないの?

すれちがいの図書室のドアはまだ開いたばかり・・・

このお話の続きは。また、春に。 topへ

きみも図書委員にならないか(2024年4月27日)

今どきは検索すると一発でアクセスできる、昭和の学校のチャイム音をマイクに乗せながら、「ただいまより、しろくま図書委員会の春学期2024を始めます。」

二年目のしろくま図書委員会、当たり前のように全編にわたりとぼけ続けます。掛け声は、「しろくまーっ」でお願いします。

眼鏡をかけた宮野くんは、今回は宮野くん役ではありません。ここの場面では、図書委員長です。

きみも図書委員にならないか

きみも 図書委員に ならないかっ
予習復習宿題と ぼくらは毎日忙しい
ふと振り返るとどこかに 忘れものをした気分になるの
こころをなくすと書いて 忙しいと読むんだよ
さあ、とりもどそう ホントの自分を
図書室で 本に囲まれて
きみも図書委員にならないか

おじぎ挨拶ことばづかい
ぼくらはいつでも気をはって
ふと自分ではない誰かを
演じ続けてる気分になるの
人の夢は儚いと
誰かがうたっていたよ
さあ、みつけだそう ホントの輝きを
図書室で 本に導かれ
きみも図書委員に ならないか

中学生活は たったの三年間だけ
どれだけ読書したって まだまだ足りない
中学生活は 電光石火のごとく
どれだけ読書したって ぜんぜん足りない
足りない 足りないよー

相も変わらず物怖じすることなく、新曲からスタートです。

眼鏡を外して宮野くん「前回までのお話はさておき、しろくま図書委員会初参加の皆さまのために、これまでの話はこの一曲にまとめてあります。」と、セリフを間違えたところで、会場はざわめきます。

確かに、一年分の物語が一曲にまとまってたら、これまで4回のライブにかけた時間は何だったんだということになります。正しくは、最初の設定は一曲にまとめてあります、お聴きください。でした。

それだけなのに

小さな窓の中に きみを見つけた春
静かに本を読んでいる ただそれだけなのに

短い休み時間に いつもここへきて
同じ席で読んでいる
ただそれだけなのに

気になって気になって またのぞいてしまうんだ

きみは一度も顔をあげず
ぼくに気づくはずもない
図書室の窓の向こうには
散り始めた八重の桜が風にゆれている

偶然だったんだ きみを見つけたのは
向かいの踊り場から見た ただそれだけなのに

昼休みも放課後も またのぞいてしまうんだ

きみはいつも本に夢中で
ぼくが見えるはずもない
図書室の前の廊下では
きみの邪魔をしないように息をひそめてる
踊り場でシャドウ

コントロールを磨きたくて
誰もいないところを探したよ
こっそり練習できるような
昼休みだれもいない屋上
シャドウピッチ無心で繰り返す
シャドウピッチ無心で繰り返す

急な雨に降られたので
踊り場に降りてきたんだ
かがむと見える窓のはしに
突然誰かが見えたので
シャドウピッチ無心で繰り返す
シャドウピッチ無人の踊り場で

昨日今日でわかったのは
そこは図書室というところ
ここもそこもこの時間には
僕らの他は誰もこない
シャドウピッチ無心で繰り返す
シャドウピッチ無心で繰り返す

展開は滞りなく速やかに、を覚えたしろくま図書委員会です。ピアノの準備を始めるとともに話しはじめる図書委員のあのこ。 「さて、廊下や踊り場からつい、図書室をのぞいてしまう宮野くんですが、一方の図書委員のあのこはどうしているかというと、廊下なんて気にも留めず、図書室にこもっているのです。」

私のひみつ-昼休みの図書室

静かな図書室で そっとページを開く
お昼休みの少しの時間
私だけのひみつの時間

晴れの日も雨の日も そっとページをめくる
止まっていた昨日の続きが
いま始まるまち焦がれた時間

本の世界へゆく 私を止めないで
そこは確かに存在する もう一つの居場所だから

一人の図書室で そっとページをめくる
誰もこない少しの時間
私だけのひみつの時間

静かな図書室で 物語が進む
お昼休みの少しの時間
私だけのひみつの時間

風の日も曇る日も めくるページの先に
必ずある最後の場面が
いま始まるまち待ち望んだ時間

最後のページまで 一気に読んでしまいたい
でも物語が終わるのは ほんの少しさみしいから

チャイムの音がなって そっと表紙をとじる
ときを止めてかぎをかける
私だけのひみつの時間
ころがる消しゴムのように

まさか教室の後ろの席に座っていたのが
あのこだったと知ってからはなんだか落ち着かない

転がる消しゴムのように
あのこの近くへは行けない
ボールのように角をとって
丸くしたらどうかなってこする

あの日落とした消しゴムがなんと珍しいことに
真後ろに転がったせいであのこが拾ってくれた

転がる消しゴムのように
あのこの近くへは行けない
もいちど狙って落としても
だいたい隣に転がってしまう

こするこする手の中でこっそり
まるくまるくボールならおてのもの
偶然と必然は紙一重こんな近くにいたのね
ありがとうっていいたいなうまくやればもういちど

転がる消しゴムのように
あのこの近くへ行けない
ボールのように角をとって
丸くしたらどうかなってこする

読み物好きの方が集まるのをいいことに、今回は会場配布資料には、物語を進めていく宮野くんのあのこへのアプローチに、すなわち「宮野プラン」について長々と書いてあります。そこで、このようなセリフになりました。

宮野「うまく消しゴムをあのこのところに落とせば、拾ってくれてありがとう、と話もできる、これ宮野プランその3ですからね。なのに、いざとなると消しゴムってやつは、うまく転がってくれないのです。  ならば、図書室であのこの好きな本でも借りたら、自然に話すことも出来るのではないかと、考えるのです。宮野プランその2です。」

きみと話せる本

ぼくが本を読んだら
きみはふり向いてくれる?
何を読んでるのって
興味を持ってくれる?

何を読んだらいいのか
わからないけれど
きみの好きな本を知りたいんだ

ぼくが本を借りたら
きみは何ていうだろう?
ほかの人と同じように
笑いかけてくれる?

何を借りたらいいのか
わからないけれど
貸出カードはもう準備万端

ほかの図書委員と話しているきみは
クラスのときとは別人みたいに笑顔だから

何を選べばいいのか わからないけれど
きみと話せる本を知りたいんだ

図書委員のあのこによる次の曲の紹介のための、神妙なお話。「本の世界は楽しいばかりではありません。世界中のあらゆることが描かれています。辛いことや悲しいこと、繰り返してはいけないような出来事だって、本を通して知ることはたくさんあるのです。そして、その先に描かれる希望や教訓。ときに本は私達へのバトンのようなものでもあるのです。」

本の続きを生きる

涙みたいな雨
昨日の本があんまり
悲しかったから

どんなに大きめの
カサをさしても 足元は濡れる

明日をどう生きるのか
私はどう生きるのか
問われてる気がする
こんな雨の日

バスの窓からみる
街ゆく人もみんな
雨に煙ってゆく

私が持ち運べる
カサの大きさは 決まっているから

悲しみをどう受けとって
これからどう生きるのか
それは本の続きを
生きるということ

昨日の私にはもう戻れない
バスの窓ながれる冷たいしずくに

明日をどう生きるのか
私はどう生きるのか
問われてる気がする
こんな雨の日

 宮野くんは、ただ図書委員のあのこと話すための本えらびです。一方の図書委員のあのこはといえば、まるで実際に本の中を生きているかのようです。それどころか、本を閉じた後の自分の生き方まで気にしています。本を閉じたら終わりじゃないのでしょうか。本との関係があまりにも違うことに、驚く宮野くん。

 「本ってそんなにすごいものなの?たかが本でしょ」

図書委員「チッチッチ。わかってないなぁ。たかが、本。されど、本」

たかが本されど本

本を読まないぼくはきみと話す権利も
きみの目線の中にうつることもないのかい

本を読まない人をうらんだこともあったわ
なぜみんな図書室にきてくれないのと

たかが本されど本本は読まなければならないもの?
たかが本されど本本は読みたくて仕方ないもの
すれちがいの図書室の書架は静まり返るばかり

本を並べる君の背中を何度見ただろう
君がすすめるならばどんな本も手に取るさ

本を読む読まないは結局その人の自由ね
ただ私は図書室であてもなく待つだけ

たかが本されど本本が苦手なぼくは罪なおとこ
いいえ本それは本言葉の使い方まちがってるわ

たかが本されど本紙の束だと思えばこわくない
いいえ本それは本世界で一番すてきなもの
すれちがいの図書室の書架は静まり返るばかり

たかが本されど本、今回は前の曲からの流れで、ピアノとギターでお送りしました。ところで、初めて会場にいらしたお客様方のために、ここまで、曲数にして8曲。時間にして30分強が「しろくま図書委員会の2023年春から続く物語の設定と進行の説明」に費やされていますがいよいよ、前回のお話のラストシーンまで辿り着きました。

宮野「前回、宮野くんは、詩集なら文字が少ないから、なんとか読める! というすごい発見をしました。いくつか詩集を読んで、これなら自分にも書けると思い立ち詩を書いて、図書室にある、あのこのお勧めの『世界の詩集』に栞のように挟んだのでした。」

図書委員「国語の時間に、作文をかいたり、調べものをして自分の意見や感想をかくことはよくあります。短歌や俳句を作らされたこともありました。

ここで一句。 きたのはてしろき大地にすむという ましろないのちその名はしろくま」

ようやく話はここまできたのに、図書委員による小ボケが挟まります。

図書委員「俳句やポエムの一つや二つ、誰だって書くことはあると思います。ですが、野球少年の男の子が、自分から詩を書いて、人に見せようなんて、ずいぶん大胆というか、変わってますよね。はっきり言って、へんです。しかもですよ。図書室の本に挟み込むなんて、どういう思考回路してるんでしょう。」

宮野「ご説明申し上げましょう。お手元の資料の通り、宮野プランその5としては、こうです。何か挟んであるよ、なにこれへー誰の仕業だろ。野球の話?野球部の人がきたら訊いてみようってなるじゃないですか。  だから、あの後こっそり見ていたのです。世界の詩集に挟んだ栞に、あの時あのこは確かに気がついた筈なのです。なのに、あれから何も反応がありません。何も訴えるものがなかったのでしょうか。刺さらなかった、とは昭和には言いませんでしたが、響かなかったのでしょうか。よし、もっといい詩を書いてやる。と、もはや目的もずれ気味のまま今日も作詩に夢中の宮野くんでした。」

ねてもさめても図書委員

図書委員になるくらい本が好きだったら
家の部屋にもたくさん本があるんだろうな

どんななんだろうな
眠れなくなるほど怖い本もあるらしいけど
そんなの面白いのかな

昔の人が繰り返し歌ってた
ねてもさめても図書委員
ってこういうことなのか
こういうことなんだろうなあ
最近わかる気がする

図書委員を目指すくらい本が好きだったら
授業中も教科書に隠して読んでそう

どんななんだろうな止まらなくなるほど
無我夢中になるらしいけど
あのこもそんななのかな

昔の人が繰り返し歌ってた
ねてもさめても図書委員
ってこういうことなのか
あのこのことが気になるんだ
最近わかる気がする

ワンコーラス宮野独唱の間に、例によって図書委員のあのこは白耳を装着します。とともに、会場の過半数の皆さまご持参の耳の装着を促します。

図書委員「皆さま、お手元にございますので、ご唱和願います。」

「しろくま宣言」(画像は第一回のものを流用)

わたくし<br />
しろくま図書委員は<br /> 
本を愛し<br />
本に愛される活動を<br />
行うことを<br />
ここに宣言いたします<br />
令和6年1月27日<br />
しろくま図書委員会<br />

これまで、図書委員の独壇場でしたが、苦節一年ついに会場の皆さまとともに、耳をつけてしろくま宣言を読み上げました。パチパチパチパチ。みんな、やってみたかったんですね。記念すべき記録すべきシーンでした。

「改めましてこんばんは。柏原はねみですー。」の声を合図に、いつものようにキャラ解放の時間です。よどみなく遠慮なくいつもの、かわハラ(客席にかわいいコールを要求すること。第4回コラムに詳細)。そして、返す刀の如くかわいい返し。みんなもかわいいー。これを、かわいいの応酬と呼ぶことにしました。そして、「かわいいーと声を発すること」の効能について真面目に話します。

そんな素敵な皆さまのおかげで、しろくま図書委員会は一周年を迎えました。お店側からも毎度たくさんのご来場感謝の意味を込めまして、耳をつけて入場された方に特典を設けました。これもまた、記録すべき出来事です。

しろくま課外活動として、冬ライブ以後のそれぞれの図書委員会にまつわる活動についてお話に続いて、不可解ともとれる、宮野くん急に作詩に勤しむという行動についての解説が続きます。

要約すれば宮野くんは、作詩どころか読書だって初心者レベルで、ビギナーにありがちな舞い上がり且つまだ中学生という属性を生かして、言わばとんでもなく調子に乗った行動に出たわけです。もちろん動機の第一はあのこの目を引くこと。それは彼なりに、昭和の幻想的手法である下駄箱にラブレターよりは、恥ずかしくないと思われたのです。第二は、なぜか彼にとっては作詩が面白い。この謎については、夏のライブで明かされる予告がなされました。

そして恒例、合唱の時間になります。読書日和から妄想モンスター。皆さまの声が響きわたります。

読書日和(中)

春の日は読書日和 あたたかい図書室で 新しい本と出会える
空の日は読書日和 羽を広げ? どこまでも 自由に飛んでいける
海の日は読書日和 宿題の課題図書 手をつけるのにちょうどいい
山の日は読書日和 見晴らしのいいベンチで 本を読んだら気持ちいい

永遠に読書日和 好きなだけ読んだら またあした 最初に戻る
春の日は読書日和
妄想モンスター

教室ではいつも大人しくしてるけど
ホントは本のことで頭フル回転
登場人物の行動 思考回路をトレースして
先の先まで読み解くの 想像を超えて行け

今日もやってきた 妄想モンスター 私の耳元でささやく
さあ剣を取って闘うのです! 石畳に気を付けて
あの港まで一気に 走りぬけるのです!
(もう、そうは 止められない  もう、そうじゃ ありませんって もう、そうね そういうしかないね)

授業中はいつも前を向いているけれど
ノートの片すみは落書きでいっぱい

波乱万丈で爽快な 紆余曲折のストーリーに
山あり谷あり裏切りも 大事なスパイスなの

今日もやってきた 妄想モンスター
私をわしづかみにして さあ
ハッチを開けて飛び出すのです! 面食らう敵をしりめに
大海原をこえて 風をつかむのです!
(もう、そうは 止められない  もう、そうじゃ ありませんって もう、そうね そういうしかないね)
(もう、そうは そのままで  もう、そうに 身をゆだねて  もう、そうね 早々に降参)

今日もやってきた 妄想モンスター
私がいれば負け知らず でも
先の展開は本の中 まだまだ授業は終わらない
次のページはお預け 早く早く終わらせて
(もう、そうは 止められない  もう、そうじゃ ありませんって  もう、そうね そういうしかないね)
(もう、そうは そのままで  もう、そうに 身をゆだねて  もう、そうね すべて受け止めて)

続いて、そんな、あのこの気を引きたい宮野くんがまるきりかすらない場面が新曲としてお目見えします。図書委員のあのこに、気になる人が現れました。だって、借りる本が似ているのですもの。話もきっと合うかも知れません。ぜひ、あなたも図書委員になりませんかと言いたくなるのです。

あの本棚で会いましょう

たとえば 私の好きな本  
あなたの 好みに合うならば
きっといろんな話ができて  
ずっと続いてゆくでしょう

はじめて きみを見かけた日
きみが 手にしたその本は
ぼくが返したばかりの本  
うしろ姿を目で追った

あなたと私はどこかしら 似ているところがあるのかも
約束なんてしてないけれど あの本棚でまた会いましょう

たとえば あなたの好きな本
私に 教えてくれたなら
すぐに図書室で借りてきて
大事に読んでゆくでしょう

なかには 好きになれない本
趣味が 合わない本だって
きっとでてくることでしょう 
読書好きなら当然のこと

それでもやっぱりどこかしら つながりあっているのかも
あなたと本と私の関係 きれいな三角になるのかな

いくつも偶然が重なれば 必然にかわってゆくのかも
ふたりが交わす言葉はきっと あの本棚でまた会いましょう

ふたりが交わす言葉はいつも あの本棚でまた会いましょう

図書委員のあの子は勇気を振り絞って、気になるあの人に「図書委員になりませんか」と声をかけました。しかし、いとも簡単にふられてしまいます。その理由がその、白い耳だったのかどうか、それは世間の判断に委ねましょう。悲しみのあまり吠える図書委員。その1。

私は誰より図書委員

幸せをつかむなら後ずさりしてちゃだめね
本からそう教わった私は無敵な図書委員

読めば読むほど重なる経験どんな敵だって怖くない
縦横無尽に駆け抜けたパラレルワールドはここかしこ

本の世界は無限の世界
迷い込んだら戻れない?いいえ心配はいらないわ
チャイムがなればここはいつもの図書室だから

悲しみをいやすなら背中を向けてちゃだめね
本からそう教わった私は夢見る図書委員

読めば読むほど重なる人生高くなってく経験値
以心伝心で共鳴したあの人たちはいまいずこ

さあ あなたも本を手にとって
素敵な体験重ねましょ初めてだって大丈夫
本の借り方探し方教えてあげるから

貸出カードは5枚目校内一位じゃないけれど
何でも聞いてください私は誰より図書委員

何でも応えてあげる私はあなたの図書委員
初めてだって大丈夫
でも貸出カードだけは忘れないでね

なんと、吠える図書委員の矛先が、宮野くんの方へ向いてまいります。これを八つ当たりと呼ぶべきかも、世間の判断に委ねましょう。書架にある、世界の詩集に栞のように挟まった、鉛筆書きのメモ。そこには、野球日和だの、次には、勝ち越し決定だの、そして連敗だの、よく分からない言葉が並んでいます(出典はリンク先に)。

でも、鉛筆で書いた紙を挟むなんて、なんて非常識なのでしょう。本が汚れるではありませんか。絶対に許さない。と、吠える図書委員。その2。

絶対禁止
気温25度以上は禁止です 汗をかいてしまうから
本がよごれてしまうから気温25度以上は禁止です

食べながらなんてもってのほか手を洗ってきてください
本がよごれてしまうから 飲食禁止は常識です

図書室の本には透明なカバーフィルムがはってあるけど
決して万能じゃないんです 大事にしてほしいんです

ページを折るのは禁止です 一度折ったらもどらない
本がいたんでしまうからページを折るのは禁止です

線をひくなんてもってのほかあなたの本じゃありません
本がいたんでしまうから あとの人だって困ります

図書室の本を大切に できない人は来ないでください
あなたは出入り禁止ですホントはそう言いたいけれど

よごれた本をみるとかなしくなる
いたんだ本はかわいそうだから私の中では絶対禁止!
図書室の本はいつだって 手にとる人を待ってます
みんなの役に立つために あなたの役に立つために

吠えてすっきり図書委員。これからもしろくま図書委員会は、大人しく真面目で、声が大きいはずもなく見た目も地味である読書好きの人たちの心の声を、歌にして参ります。

本の住所~NDCコードのうた

Fu Fu Fu~
おかえり 今日はたくさん返ってきたね
おかえり それぞれの場所に戻しましょう
本には 住所があるんです
1は哲学 2は歴史 3は社会科学
覚えておくと探しやすいです Fu Fu Fu~

まいごに ならないように正しい住所に
かえして あげられたら嬉しいでしょう?
次の ブロックへ移動して
4は自然科学 5は技術 6は産業
ほらね、もっと知りたくなったでしょう?
7は芸術 8は言語 9は一番多い
文学作品です Fu Fu Fu~

きちんと 背表紙を手前にだして
そろえば 本もよろこぶ美しい本棚
残すは 最後のブロック
0は総記 1から9に あてはまらない
本は全部ここへ 戻したらおしまいですFu Fu Fu~

本日の宮野くん最後の台詞。「鉛筆はもうやめておこう。それにしてどうして僕はあの耳が、なぜあの白い耳が、気になってしまうんだろう」これが、次回へと続く鍵になります。

終演に際して、しろくま図書委員会からの告知は3点。

  1. 書籍風四曲入りミニアルバム「春の約束」を500円にて会場にて販売開始します。
  2. 終演後21時よりYouTubeにて「きみも図書委員にならないか」配信開始を皆さまで見届けましょう。
  3. 夏のライブは8月10日を予定しています。
あなたに会いに−昼休みの図書室、二年後

昼休みの図書室は誰もいないから
ほんの束の間あなたに会いに行く
到底いくこともかなわないような
深い森にあなたはすんでる

私は遠くからそっとのぞく
音を立てず静かに表紙をひらいて
心臓の音がきこえるくらいいま近くにいるから
もうだれも邪魔しないで

昼休みの図書室は昨日の続き
とまっていた時計が動き出す
到底みることもかなわないような
ちがう時代にあなたはいきてる

私は遠くからそっとよりそう
透明なまま激しく想いをよせて
熱い呼吸をかんじるくらいいま近くにいるから
この瞬間こわさないで

どんなにあなたに会いたかったか駆け出したら止まらないから
読み進めるほど速くなってゆくその背中追いかけてく

心臓の音がきこえるくらいいま近くにいるから
もうだれも邪魔しないで

アンコールは、毎度歌って来たけれども、今回は本編に収まらなかったこの曲を。しろくま図書委員会の物語は、これからも続いて参ります。

このお話の続きは。また、夏に。 topへ

しろくまアワー♪をはじめましょ(2024年8月10日)

春から数えて四ヶ月。しろくま図書委員会も、ライブハウスコタンで回数を重ね、その場所なりのやり方を確立し始めたと言えるかもしれません。まずは一曲、本編とは関係なく昭和の匂う、夏らしい歌を聴いてもらいます。

僕らの磁力

僕たちが揃うともしかして
時計が壊れるみたい

その高さこの高さ見慣れて来たら
ひかるあせも眩しく見える

あー。ねー。
これからどんな夏をはじめようか

残された時間を数えると
時計が壊れるみたい

その声もあの声も僕らのものに
たれるあせも許していこう

あー。ねー。
これからどんなふたりはじめようか

僕らの磁力は無謀にも
地球の磁力に抗って
どこまでも高くとべる
まるで翼を得たように

あー。ねー。
これからどんな夏をはじめようか

あー。ねー。
これからどんなふたりはじめようか

いつものお話のなかの宮野くんがまったく出てこない、ある意味安心の一曲で場をあたためます。

そして、いつもの自己紹介よりスタートです。「あらためましてこんばんは。しろくま図書委員会、宮野馨です。こちら、図書委員のあのこです。これより、2024の夏のしろくま図書委員会をはじめます。」

本編一曲目は、図書委員による盆踊り手拍子に乗せて、この夏のテーマをお送りします。

しろくまアワー

今日ものびのび しろくまるん♪
図書室へまっしぐ らったったー
今日もうきうき しろくまるん♪
新刊入荷だ うっふっふー

しろくまアワーが始まるよ
なにそれ、それっておいしいの?
はいはい、おいしい本ですね?
きっとご用意いたします

今日はいよいよ お話会♪
好きな本持ち寄り らったったー
扉をいそいそ ひらきます
委員会活動 うっふっふー

しろくまアワーを始めましょう
なにそれ、それって意味あるの?
はいはい、意味ない本なんて
きっと存在いたしません

ねえねえそこの 図書委員さん
お話聞いたら眠くなる
ねえねえそこの図書委員さん
僕もうそろそろ限界です

しろくまアワーっていうけれど
なにそれ、それって楽しいの?
楽しくないわけなくなくない?
どんな本が好きですか?

はいはい、眠くない本ですね
きっとご用意いたします
楽しくないわけなくなくない?
しろくまアワーを続けましょう

「しろくま図書委員会は、地味で目立たない図書委員のあのこと、そのこに夢中だけどなかなか話しかけられない男の子のお話です。 みなさんも身に覚えはありませんか?出来るだけさりげなく話をするきっかけを作るために、ほら、目の前でつまづいて見せたり、消しゴムを落としてみたり。」

ころがる消しゴムのように

まさか教室の後ろの席に座っていたのが
あのこだったと知ってからはなんだか落ち着かない

転がる消しゴムのように
あのこの近くへは行けない
ボールのように角をとって
丸くしたらどうかなってこする

あの日落とした消しゴムがなんと珍しいことに
真後ろに転がったせいであのこが拾ってくれた

転がる消しゴムのように
あのこの近くへは行けない
もいちど狙って落としても
だいたい隣に転がってしまう

こするこする手の中でこっそり
まるくまるくボールならおてのもの
偶然と必然は紙一重こんな近くにいたのね
ありがとうっていいたいなうまくやればもういちど

転がる消しゴムのように
あのこの近くへ行けない
ボールのように角をとって
丸くしたらどうかなってこする

「そして、思い通りに消しゴムが転がらないように、やっぱり時間ばかりがすぎて夏休みが来るのでした。」

きみも夏になる

少し 離れようとしたのは
寝不足のせいかな
ほかの誰かと楽しそうに
話すきみを見たからかも

グラウンドに出て 空にボール投げよう
やることは沢山ある ぼくにだってそれなりに

だけど もうすぐ夏がやってくるよ
その前に きみと話したい

きみに 聞いてみたいんだ
どうして外へ出ないの?
もしかして図書室の本を
全部読もうとしているの?

グラウンドに出て きつく目を閉じて
風の彼方で 振り向いてみたら

春は隠れて見えなかった耳たぶと
夏に変わる瞬間が 見えたんだ

いまか いまかと夏がやってくるよ
その前に きみと話したい

夏休みに入ってしまうと、そもそも接点の薄い二人が、絡むどころかニアミスすることもありません。なので、この夏は、それぞれの夏休みのお話になる旨を、図書委員が冷静にアナウンスします。

「夏休みには昼休みも放課後もありません。そもそも薄い二人の接点は、夏休みの間は、ありません。お話はそれぞれの、ひと夏のものがたりとして進みます。あしからずご容赦ください。」

まずは、本好きの図書委員のあのこの夏休み。地味で真面目で優等生の誉高い女の子が、どのように過ごしているかと言いますと、想像に反してなんと、おやつ食っちゃ寝、アイス食っちゃ寝、本を読んじゃ寝る三昧のぐうたらの夏休みです。

ふわふわしてる

長い長い 物語を ベッドの上で 読んでいたの
いつの間にか 雲に乗って空の上から あなたを探してた

どこにいるの 姿が見えない
歩きつかれて 隠れているの?
どこかけがして いないかしら
早く助けにいかなきゃいけない

ここはどこ? 私はだれ?
答えはきっと ベッドの下
ここはどこ? 私はだれ?
滑り落ちた本のなか

暗い空に はりついた あかい月が あやしく光り
いつの間にか雲をおりて耳をすましたわたしを呼ぶ声に

思うとおりに進んでいける
見知らぬはずの 見覚えある道
ふわふわしてる 世界のすべて
手をのばしたら 触れられそうなの

ここはどこ?あなたはだれ?
答えはきっと次のページ
ここはどこ?あなたはだれ?
明日読む続きのなか

一方の宮野くんの夏休みは、当然部活、野球三昧ですとか言いつつ、どこかで白耳のあのこに会える場所を夢想しています。

ぼくの宿題

よく読んで 感想を書きましょう 課題図書の宿題は
いつだって 先生はそういうけれど 
書けるわけない きみに会えない 夏休みは

きみは笑うかな ぼくを笑うかな
  本を見るたび きみを思い出すと知ったら

よく読んで 答えを考えましょう 
文章問題を解くときは いつだって 先生はそういうけれど 
考えても わからないよ この気持ちは

きみに会えるかな ぼくは会えるかな
自転車とばして 図書館に行ったりしたら

いつもの夏なら学校のこととか
勉強なんて忘れているけど
ことしは大事な宿題があるんだ
休みの間どうしたら きみを見つけられるか

きみは気づくかな ぼくに気づくかな
あの駅前の 本屋ですれちがったりしたら

きみは笑うかな ぼくを笑うかな
本を見るたび きみを思い出すと知ったら

あの日偶然見かけた白い耳がなぜか、気になって仕方がないのです。

今回はここから、白い耳にまつわる、宮野くんの思い出の話になります。

東京生まれ、東京育ちの宮野くん、夏休みは、東京近郊のおばあちゃん家で何週間も過ごしていました。

中学生になってからは部活動で少し足は遠のきましたが、それまでは夏休みでなくとも遊びに行っては、掃除の時にするような白い頭巾のおばあちゃんと一日中いっしょの、おばあちゃんこでした。というわけで今回ここから図書委員はみみ頭巾、エプロン装着して、宮野くんの祖母の役になります。

この夏、一年で急に背が伸びたせいか、おなじみのおばあちゃんの寝室のタンスの上に、なにか見慣れない、まるくて白いものを見つけました。その時、脳裏にひとつの歌が、きこえてきました。それは、小さな頃によく聴いたこもりうたです。

しろくまさん おばあちゃんの子守唄

しろくまさんはしろいみみ
けいちゃんにもつけてあげましょう
しろくまさんはまるいみみ
ほらねとってもよく似合う

しろみみさんは北国のずっと先のしろい国
しろいゆきのお布団で今夜もゆっくり眠ります
すうすうねむります

しろくまさんは夢の中
けいちゃんいっしょにあそびましょ
しろくまさんはふかふかで
いつもみんなの人気者

大きな背中は滑り台かけっこだって上手なの
ねむくなったらおふとんでお話聞かせてくれるでしょう
すやすやねむります

宮野くんの耳に、なつかしいメロディが聞こえてきました。そして、ふと、宮野くんの頭の中のモヤが晴れた気がしたのです。おばあちゃんはいつも、寝る前に布団の中でいろいろな本を読んでくれました。楽しい本、ちょっと怖い本、冒険物語、動物の本もあったっけ。幼い宮野くんはたいてい、それを聴きながらすやすやと眠ってしまったものですが、その時、確かにおばあちゃんの頭には、白い頭巾があったのです。そして、なんとなく、白いみみのようなものがついていたんです。あれは・・なんだったのかな。何かの記憶違いなのでしょうか。いや、記憶から見えてくるのはどうしてもあの、みみのようなシルエットなのです。

一方で、図書委員のあのこの夏休みは、例によって本の中です。夏休みはさらに読書三昧でさぞご機嫌かと思いきや、楽しく読み進めていた物語が未完の大作だったことに気づいて、途方に暮れていたりします。

物語のつづき

もう二度とつむがれない日々なの
それでもその先を知りたくて

もう一度最初から読んでみる
あなたの行く道をたどって

ここで笑って ここで涙した
ここで出会って ここで分かれ道へ

物語の続きを知りたくて
何度も 想像するけれど
物語に答えはどこにもない
ただ立ち尽くすだけ

もう二度と描かれない世界に
とりのこされてしまったの

もう何度読み返しているだろう
あなたの姿をもとめて

ここで走って ここで倒れた
ここで傷つき ここで立ち上がって

物語は私をまきこんで
時間さえもこえてみせる
それでも最後の場面から
つづく未来はない

図書委員のあのこが本の中で迷子になって憔悴している頃、宮野くんは、おばあちゃんが掃除をする時のただの三角巾だと思っていたものに、思いがけず白いみみがついていた記憶に、動揺していました。なんで?おばあちゃんも白いみみ?さらに、意味のよくわからない白い耳の子守唄のことも思い出しました。あれはなんなのでしょう。しろみみさん?それからそれから、おばあちゃんがよく歌っていたうたを思い出しました。1は哲学2は歴史って。なんのことだろう、今思えば図書室の中の目印だったんだよね。あのこのいる図書室に忍び込んだときに見かけた数字、なんだか懐かしい感じがしたのでした。

本の住所~NDCコードのうた

Fu Fu Fu~
おかえり 今日はたくさん返ってきたね
おかえり それぞれの場所に戻しましょう
本には 住所があるんです
1は哲学 2は歴史 3は社会科学
覚えておくと探しやすいです Fu Fu Fu~

まいごに ならないように正しい住所に
かえして あげられたら嬉しいでしょう?
次の ブロックへ移動して
4は自然科学 5は技術 6は産業
ほらね、もっと知りたくなったでしょう?
7は芸術 8は言語 9は一番多い
文学作品です Fu Fu Fu~

きちんと 背表紙を手前にだして
そろえば 本もよろこぶ美しい本棚
残すは 最後のブロック
0は総記 1から9に あてはまらない
本は全部ここへ 戻したらおしまいですFu Fu Fu~

このうた、おばあちゃんが歌っていたじゃありませんか。宮野くんのおばあちゃんがしろくま図書委員会に深くかかわる人物だったことを、昭和末期の私たちが知る由もないのでした。

図書委員ははずかしそうに、いや、ちょっと今や誇らしげに耳を装着して(会場に向かって一緒に耳装着を促す紙をかかげ)、高らかに歌います。会場にはたくさんの耳が生えています。壮観です。

コードはシロクマ

ある日先輩から白い耳を渡された
この図書委員会のコードネームは “シ・ロ・ク・マ”

図書室の本を守るのがきみたちの使命です 
同意するなら耳をつけこれを読み上げてくださいと
「私達しろくま図書委員は本を愛し、
本に愛される活動を 行うことをここに宣言します」
あの日先輩から白い耳を渡されて
すぐに決心したコードネームは “シ・ロ・ク・マ”

今日から立派なしろくまになりますと誓った
少し照れたのは初めだけ意外と似合うと思ったの
「私達しろくま図書委員は本と共に歩み
本と共に生きる活動を行うことをここに宣言します」

「しろくま宣言」(画像は第一回のものを流用)

わたくし<br />
しろくま図書委員は<br /> 
本を愛し<br />
本に愛される活動を<br />
行うことを<br />
ここに宣言いたします<br />
令和6年1月27日<br />
しろくま図書委員会<br />

厳かに会場一体になってしろくま宣言を終えると、ようやくいつものフリートークの時間です。

「あらためましてこんばんはー。柏原はねみですー。せーの(かわいー♪)・みんなもかわいいー」

もう、かわハラ、そしてかわハラ返しについては説明を略します。

そして、今回のお話を振り返ります。

「なんと宮野くんのおばあちゃん、しろくま図書委員だったってことなのでしょうか?」

「宮野家 は実は血筋としては、読書好きの家の子だったわけです。だから、思いのほか漢字も書けるし、詩を書こうなんて発想するわけですよね。」

「『本はにがて』といううたが出来たとき、ここまで過去に遡る展開になるとは思っていませんでしたね。なんといってもおばあちゃんは、大正生まれですから[大正9(1920)年]。学校に図書室の設置が必須となったのは、昭和28年ごろですから、おばあちゃんが女学生の頃に、図書委員会があったかというと、それは怪しいです。けれど、先ほど、宮野くんが思い出してうたってみた、「本の住所」に出てくるNDCコードは、昭和4(1929)年に、森清(もりきよし)さんが発表して、徐々に広まり、戦後、日本の標準図書分類法として定着したそうです。本好きなおばあちゃんがどこかで、それを知ったとしても不思議ではありません。
 そして、孫のけいちゃんに、絵本を読み聞かせるだけでなく、歌もつくって聴かせちゃうような人ですから、NDCコードの歌だって、口ずさんでいてもおかしくない、というわけですよね?」

「辻褄があって来ましたね。こうなってくると、宮野くんと図書委員というのは、実は親戚みたいなもんだったということができるわけです。」

会場を置いてきぼりにしながら、宮野家の深い事情についてのお話が続きます。仔細についてはアルバムに譲るとして、おばあちゃんはとても深く関わっていたようです。

すっかりおなじみ合唱のコーナーは夏バージョンです。

読書日和 (夏)

雨の日は読書日和 外で遊べないこと忘れるくらい夢中になれる
空の日は読書日和 羽を広げ  どこまでも 自由に飛んでいける
海の日は読書日和 宿題の課題図書 手をつけるのにちょうどいい
山の日は読書日和 見晴らしのいいベンチで 本を読んだら気持ちいい

永遠に読書日和 好きなだけ読んだら またあした 最初に戻る

しろくまサマー♪

みなさーん、しろくまサマーへ ようこそ

今日も太陽はギラギラ
みんなの瞳はキラキラ

日に焼けたその足で
図書室へきませんか

しろくま特集やってます
北極の風ふいてます
本を開けばほらそこは
ひんやり氷の世界
しろくまサマーへいらっしゃい

今日もプールは盛況
水しぶきたっぷりあびたら

ぬれた髪かわかして
図書室へきませんか

ぺんぎん好きなあなたには
南極の風ふかせましょ
本を開けばどこだって
たちまち氷の世界
しろくまサマーへいらっしゃい

しろくまサマーの中で、しろくまーと叫ぶことができました。先月の名古屋場所で白熊関は、十両優勝、幕内昇進確実とニュースになっています。じきにテレビでもしろくまーっというこえが聞こえて来ますよ。という雑談を経て、お話に戻りました。

本が好きなきみを

世の中に本屋さんがあることは知ってたよ
沢山の棚があって全部は読めないはず

おそるおそる手にするもどれもこれも難しそう

ただどんな本を見てもきみを思い出す

いろいろな本があってこんなのも読むのかな
文字じゃない絵ばかりの写真だらけの本も

おそるおそる手にしても開かないようなものも

ただどんな本を見てもきみを思い出す

僕の知らない世界に
きみは住んでいるみたい
だけど近ごろどこにでも
本があることに気づいた

いまどんな本を見てもきみを思い出す

宮野くんは、本屋さんに行ってみたようですが、本好きの図書委員たちが行くのはどちらかと言えば、圧倒的に図書館です。と、さりげなくまた宮野くんの企てが徒労だったことが明らかになります。 話は変わりますが、昭和の図書館は月曜日はお休みでした。だから、月曜日はつまらない。

月曜日はつまらない

麦わら帽子に 水色リボンつけたのに
月曜日はつまらない 図書館がお休みだから

借りてきた本は みんな読んでしまったの
夏休みはつまらない 図書室もお休みだから

早起きして ラジオ体操 今日のスタンプ 押してもらったら
もうやること 見つからない 宿題だって調べられない・・あーあ
月曜日はつまらない 図書館がお休みだから

しろくまの柄の トートバッグ見つけたのに
月曜日はつまらない 図書館がお休みだから

妹の分もみんな読んでしまったの
夏休みはつまらない 図書室もお休みだから

平泳ぎの 練習したら 昔、持ってた 絵本うかんだ
あのカエルの 王子さまは 平泳ぎも上手なのかな・・あーあ
月曜日はつまらない 図書館がお休みだから

宮野くんの独白。夏休みは学校やってないんだから、図書室もやってないの当たり前じゃんとつぶやきながら、部活のために学校に来たついでに図書室を覗いたところ、なんと昨日は図書室開放の日で、「しろくまアワー」という名のお話し会という、また聞いたこともないイベントが開催されていたというのです。「あのこも、来ていたのかな、しろくまアワー。僕たちの夏休みは、すれちがいっばなしだな。」

すれちがいの図書室

ここのところ図書室は利用者の少なさが課題
図書室のドアを開けて誰でも入りやすくしています

あのこの姿が見えなくてドアが開いてるのに気づいたよ
恐る恐る近づいて首だけのばしてのぞいたら

「あれ、えーっと、宮野くん?」

あのこの口からぼくの名前が飛び出してきて耳を疑う
珍しい人が来てくれたでもドアの前から動かない

なぜ きみは どうしてなぜ きみは どうして
ぼくの名前を知ってるの?
図書室に入らないの?

すれちがいの図書室のドアは まだ開いたばかり・・・

同じクラスの男子だけど話すのはたぶん初めてで
図書室もたぶん初めてよねそんなに入りづらいのかしら

不意うちであたまは真っ白身体に電気が走ったよ
目があって声かけられてああどうすればいいのだろう
あのこは少し首をかしげて黒い瞳でぼくを見つめる

いつまでそこに立ってるつもり?
ドアを塞がないでほしいのに

なぜ きみは どうしてなぜ きみは どうして

ぼくの名前を知ってるの?
図書室に入らないの?

すれちがいの図書室のドアは まだ開いたばかり・・・
私は誰より図書委員

幸せをつかむなら後ずさりしてちゃだめね
本からそう教わった私は無敵な図書委員

読めば読むほど重なる経験どんな敵だって怖くない
縦横無尽に駆け抜けたパラレルワールドはここかしこ

本の世界は無限の世界
迷い込んだら戻れない?いいえ心配はいらないわ
チャイムがなればここはいつもの図書室だから

悲しみをいやすなら背中を向けてちゃだめね
本からそう教わった私は夢見る図書委員

読めば読むほど重なる人生高くなってく経験値
以心伝心で共鳴したあの人たちはいまいずこ

さあ あなたも本を手にとって
素敵な体験重ねましょ初めてだって大丈夫
本の借り方探し方教えてあげるから

貸出カードは5枚目校内一位じゃないけれど
何でも聞いてください私は誰より図書委員

何でも応えてあげる私はあなたの図書委員
初めてだって大丈夫
でも貸出カードだけは忘れないでね

景気良く私は誰より図書委員で終えた夏のライブでした。 ライブも8回を数え、いよいよアルバムを作るために、読書の秋の、文化の日の昼に、ワンマンライブを開催する宣言をして最後の曲、となりました。宮野家の謎のつづきについては、来年の夏にまた、やりましょう。

あなたに会いに−昼休みの図書室、二年後

昼休みの図書室は誰もいないから
ほんの束の間あなたに会いに行く
到底いくこともかなわないような
深い森にあなたはすんでる

私は遠くからそっとのぞく
音を立てず静かに表紙をひらいて
心臓の音がきこえるくらいいま近くにいるから
もうだれも邪魔しないで

昼休みの図書室は昨日の続き
とまっていた時計が動き出す
到底みることもかなわないような
ちがう時代にあなたはいきてる

私は遠くからそっとよりそう
透明なまま激しく想いをよせて
熱い呼吸をかんじるくらいいま近くにいるから
この瞬間こわさないで

どんなにあなたに会いたかったか駆け出したら止まらないから
読み進めるほど速くなってゆくその背中追いかけてく

心臓の音がきこえるくらいいま近くにいるから
もうだれも邪魔しないで
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Bar愛読書綺譚(2024年11月3日)

ワンマンライブ「Bar愛読書綺譚」の内容は、同日発売のアルバム「図書委員とぼく I どうしたらきみと話せたんだろう」の内容に準じたものになりました。そのあらすじのみ、以下にご紹介します。

若葉第一中学校を卒業して15年。宮野くんは無事ごく普通の会社員に落ち着いています。高校卒業後特別目指す道もなく、進学しやすい法学部を選び、時流に任せて情報処理技術者の端くれに籍を置き、もうすぐ30歳です。中学校の終わりにうたを書いてギターを弾くことを覚えたので、学生時代は、誰もが聴こえないふりをする程度のオリジナル曲を歌っていましたが、就職してからは弦を張り替えてもいません。

駅近くにひっそりと出来た小さなバーには、先月から出入りを始めました。去年から通う、肩こりに少し効くマッサージやさんの入る雑居ビルの隣り、目についた看板に惹かれて思わず階段を降りて立ち寄ってみればその扉にも、どこか見覚えのある、落書き風のしかし堂々とした、クマの顔を模したエンブレム。その名がなんと、愛読書。宮野くんは読書家を名乗るほどではありませんが、大学生時代には、静かな図書室を好んで出入りしていましたから、自然に吸い込まれて行ったものでした。

実はそのお店のバーテンダーは特殊技能を備えた若いピアニストであり、これがひそかな売りですが、もちろんそれは裏メニュー。一見さんにとってはごく普通のお店です。現に宮野くんが懐かしいくしゃくしゃの図書貸出カードを提示するまでのバーテンダーは、お愛想はあってもきちんと一線を引いたよそよそしい、よくあるお店でした。

しかしこのバーテンダーが、遠い昔に宮野くんが夢中になった「図書委員のあのこ」が所属したしろくま図書委員会の何回りも下の後輩であるがために、思わぬ形で宮野くんが記憶の奥底に封印してきた美しくも少々にがい思い出たちが、次々と歌になって再現されます。

卒業以来もう、会うこともない「図書委員のあのこ」は、今もどこかで本を読んでいるのでしょうか。バー愛読書で一夜、唐突につまびらかになってしまった恥ずかしい思い出たちを、バーテンダーとともにここに再現します。 topへ