しろくま図書委員会

次回予告

2024年11月3日日曜日 12時開場(12時30分開演) 池袋フィールド 
アルバム発売ライブ「Bar愛読書綺譚」前売り申込受付を開始します

活字好きなあなたのための、しろくま図書委員会のこれまでのお話

※次のライブのために、読んでおきましょう。まだ、間に合います。

プレ第77回読書週間(2023年10月14日)

しろくま図書委員会は、この春に発表認知され、まいど新曲ばかり演奏しているにも関わらず、夏には皆さんとともにしろくまーーーーと歌うことができました。今回はすでに新曲の、カラオケを発表していました。もしかしたらもう、歌えると言う方もあるかも知れません。試してみましょう。たかがといったら、ほん!と返すんです。されど、と言ったら、そうです、ほん!。素晴らしい。さすがYoutube。CDなんか出すより広まりますね。

それから、気の早い人は耳のようなものを着けたいとおっしゃるかもしれませんね。どうぞみなさん、早まってください。開演に先立ちまして、ご注意は前回と同様なので割愛させていただき、これまでのお話を申し上げます。

舞台は昭和の中学校です。野球にしか興味のない男の子(以後、宮野くんと記します)が、図書室で本ばかり読んでいる子に夢中になります。

決して目立たない、どこのクラスかも分からないその子を、「図書委員のあのこ」(ときに、図書委員と記します)とひそかに呼び始めたのです。

ある日宮野くんは、落とした消しゴムを拾ってくれたのが、他でもない「図書委員のあのこ」だと気がつきます。どこのクラスかも分からなかったはずの「図書委員のあのこ」は、同じクラスの、彼の後ろの席に座っていたのです。

というのが、前回までのお話。夏休みを過ぎて、秋です。いまだ本には馴染めないからか、近頃、宮野くんはあのこの真似をして、落ち葉拾いを始めたのでした。もちろん、掃除を手伝っているつもりです。

という長い前説を経て、設定上まだ名前の呼べない図書委員のご紹介。「さ、そしてこちらが、落ち葉拾いに余念がない図書委員のあのこです」

回を重ねるほど癖になったというか、しろくま宣言に並んで儀式らしくなってきましたのが、演者による客席への、かわいいコールの強要。もはや堂々たるものです。

開演です。

「さ、第3回図書委員会を、始めてまいりましょう。みなさん、秋といえばなんでしょうか? そうですね、秋と言えば『読書の秋』。そして今月は、日本の国民的一大行事、『読書週間』がやってきますよ。」図書委員は高らかに宣します。

読書日和(秋)

雨の日は読書日和
外で遊べないこと忘れるくらい夢中になれる

秋の日は読書日和
だって読書の秋だって昔からそう言われてるし

雲の日は読書日和
ふかふかのあの上ならずっと本を読んでいられる

月の日は読書日和
何も心配いらないただ本を読んでいられる

永遠に読書日和
好きなだけ読んだらまた明日最初に戻る

雨の日は読書日和

そして、噛み合わない図書委員とぼくの会話が始まります。

「ことしの読者週間は、10月27日からなんですって」

「いいえ。ちがいます。読書週間は、11月3日の文化の日を中心とした2週間と決まっています。つまり、今年の読書週間が10月27日から始まるのではなくて、毎年、10月27日から始まるのです。さあ、みなさん、図書室で好きな本を探しましょう」

本が好き

本が好きなによりもだれよりもいつからか
開くたび明かされるひみつの予感に胸がさわぐ
本が好き厚ければ厚いほど好きになる
めくるたび深くなる世界のとりこになってゆく

翼がなくても飛んで行ける
このまま行方不明になってもいい
明かりがなくても進んで行ける
このまま何も見つからなくてもいい

本が好きなによりもだれよりもいつまでも
開くたび囚われる幾千万のことばたちに
本が好きめくるめくストーリーに満たされる
語られる真実とまことしやかな嘘の誘惑

地図がなくても辿って行ける
このまま暗闇に落ちてもいい
時計がなくても時空をこえる
このまま明日がこなくてもいい
本が好きなによりもだれよりもいつまでも
踊り場でシャドウ

コントロールを磨きたくて
誰もいないところを探したよ
こっそり練習できるような
昼休みだれもいない屋上
シャドウピッチ無心で繰り返す
シャドウピッチ無心で繰り返す

急な雨に降られたので
踊り場に降りてきたんだ
かがむと見える窓のはしに
突然誰かが見えたので
シャドウピッチ無心で繰り返す
シャドウピッチ無人の踊り場で

昨日今日でわかったのは
そこは図書室というところ
ここもそこもこの時間には
僕らの他は誰もこない
シャドウピッチ無心で繰り返す
シャドウピッチ無心で繰り返す

「シャドウピッチ? 踊り場にいるだけで、図書室に入らないなんて、意味不明です。ところでみなさん、第77回の読書週間、つまり、今年の標語って、知ってますか? 知ってる人ー? 私、調べました。 『私のペースで、しおりは進む』だそうです。そう、読書って、自分のペースでいいんです。誰にも惑わされないし、何ごとにも邪魔されない、そういうところも、とってもいいと思いませんか? マイペースな私にはぴったりです」

「少しはお話を進めるために、僕もそろそろ本を読もうとするのですが、本当のことを言うとしおりを挟む前に眠ってしまうんです。で、起きた時には、どこまで読んだか思い出せないんです。読み進めません」

きみと話せる本

ぼくが本を読んだら
きみはふり向いてくれる?
何を読んでるのって
興味を持ってくれる?

何を読んだらいいのか
わからないけれど
きみの好きな本を知りたいんだ

ぼくが本を借りたら
きみは何ていうだろう?
ほかの人と同じように
笑いかけてくれる?

何を借りたらいいのか
わからないけれど
貸出カードはもう準備万端

ほかの図書委員と話しているきみは
クラスのときとは別人みたいに笑顔だから

何を選べばいいのか わからないけれど
きみと話せる本を知りたいんだ

噛み合わない二人の会話は続きます。

「う~ん。本の選び方? 正直なことをいうと『何を読んだらいいですか?』っていう質問がいちばん困るんです。だって、好みって人それぞれでしょう? 好きなものを読んだらいいじゃないですか・・・。え? 好きな本が、ない? ないってどう言うこと? 好きな食べ物ならありますよね? う~ん。理解不能です。」

「あ、今年の日本シリーズは10月28日から。読書週間とかぶります。残念ながら野球を見ながらでは、絶対に本は読めません。」

「何を言ってるのかよくわかりませんね。それはさておき。さあ、みなさん、みなさんも委員会活動に参加をお願いいたします!」

すれちがいの図書室

ここのところ図書室は利用者の少なさが課題
図書室のドアを開けて誰でも入りやすくしています

あのこの姿が見えなくてドアが開いてるのに気づいたよ
恐る恐る近づいて首だけのばしてのぞいたら

「あれ、えーっと、宮野くん?」

あのこの口からぼくの名前が飛び出してきて耳を疑う
珍しい人が来てくれたでもドアの前から動かない

なぜきみはどうしてなぜきみはどうして
ぼくの名前を知ってるの?
図書室に入らないの?

すれちがいの図書室のドアはまだ開いたばかり・・・

同じクラスの男子だけど話すのはたぶん初めてで
図書室もたぶん初めてよねそんなに入りづらいのかしら

不意うちであたまは真っ白身体に電気が走ったよ
目があって声かけられてああどうすればいいのだろう
あのこは少し首をかしげて黒い瞳でぼくを見つめる

いつまでそこに立ってるつもり?
ドアを塞がないでほしいのに

なぜきみはどうしてなぜきみはどうして

ぼくの名前を知ってるの?
図書室に入らないの?

すれちがいの図書室のドアはまだ開いたばかり・・・

「そもそも、あのこが同じクラスだって分かってたら、あんなに毎日図書室の前になんか行かなかったのです。あれから僕は、音楽室に行くようになりました。だってぼく、ピアノ弾けるんです」

「この歌をうたうたびに、ただの本の虫だったあの頃のことを思い出します。聴いてください『あなたに会いに−昼休みの図書室、二年後』」

ステージではそれまではギター二本だったしろくま図書委員会ですが、宮野くんがピアノを担います。

あなたに会いに−昼休みの図書室、二年後

昼休みの図書室は誰もいないから
ほんの束の間あなたに会いに行く
到底いくこともかなわないような
深い森にあなたはすんでる

私は遠くからそっとのぞく
音を立てず静かに表紙をひらいて
心臓の音がきこえるくらいいま近くにいるから
もうだれも邪魔しないで

昼休みの図書室は昨日の続き
とまっていた時計が動き出す
到底みることもかなわないような
ちがう時代にあなたはいきてる

私は遠くからそっとよりそう
透明なまま激しく想いをよせて
熱い呼吸をかんじるくらいいま近くにいるから
この瞬間こわさないで

どんなにあなたに会いたかったか駆け出したら止まらないから
読み進めるほど速くなってゆくその背中追いかけてく

心臓の音がきこえるくらいいま近くにいるから
もうだれも邪魔しないで

「あのこは昼休みだけでなく、放課後も図書室にいます。図書委員の活動って、部活動とはちがうものでしょうか? 週に何度もあるものでしょうか?」

「ここだけの話。いっつも図書室にいるのは、好きなだけ本が読めるから、なんです。。そんなこと言ったら怒られちゃうかな。。でも、図書室に来て、何か困った人がいたら、その人のためになりたいし、いつだって本の整理はしておきたい。楽しいおすすめの本だってあるし、いつ誰が来てもいいように、図書室にいるんです。だから毎日いるに決まっています」

珍しく会話になっています。(進行しないとなりません)

放課後の図書室

光さしこむ窓の向こうは放課後の空
最後のチャイムがなるまで
あと少しもう少しここにいたい

誰かが置きっぱなしの本を片づけたら
今日の仕事はおしまい
さようならさようならまたあした

いつも図書室にいる図書委員は目立たないから
ずっとここにいてもわからないかも
なんてたまに思うの

西日があたって重なり合う本棚のかげ
大きなカーテンをしめたら
けたたましい下校のアナウンス

本と本の間にいる図書委員は目立たないから
ずっと隠れていたらわからないかも
なんてたまに思うの

何かやり残したことがあるかもしれない
最後のチャイムがなるまで
あと少しもう少しここにいよう

「本の中でなら、何にだってなれる。何だって出来る。この無限の楽園に来たい人のために、図書委員はいろんな活動を行っています」と言い出して、図書委員は例のものを装着しはじめます。

「図書委員のあのこは、時々唐突に、伝統のものを取りだすんです。前回お越しの皆さまがた、これが先輩から代々つたわる慣しであることを覚えています? 今回、自らお持ちのかたは、いらっしゃいますか? 今ですよ今。どうぞみなさんご一緒にね。はい、準備できましたか? それで、図書委員の活動、お仕事って、なに?」

「はい、宣誓」

「しろくま宣言」(画像は第一回のものを流用)

わたくし<br />
しろくま図書委員は<br /> 
本を愛し<br />
本に愛される活動を<br />
行うことを<br />
ここに宣言いたします<br />
令和5年10月14日<br />
第三回<br />
しろくま図書委員会<br />

「それが、お仕事ですか?」

「はい、大事なお仕事です!それにね、秋には秋の特別な活動があるので、うたでご紹介しますね。」

比較的この辺り会話が成立しているのは、さすがに物語を進めないとならないからです。

秋のしおり

緑の葉が黄色にかわって通学路に降り積もれば読書の秋ですね
委員会で決めた選りすぐりの本借りてくれたらいいのにな
きれいなイチョウで秋のしおりをつくりました
限定10枚今日から配りはじめます

校舎の入り口も赤く染まって守衛さんの掃除まえに拾い集めたの
私の一押しは世界の詩集人気になったらいいのにな
きれいなモミジで特別なしおりをつくりました
本との時間が素敵になりますように

いちばん上手にできたしおりは最後までとってあるの
わたしたい人が決まってるわけじゃないけど

きれいなカエデで秋のしおりをつくりました
限定10枚急いで早い者勝ちです
きれいなモミジで特別なしおりをつくりました
本との時間が素敵になりますように

「そうか、それで最近、外で葉っぱ拾ってたのか。てっきり掃除してんのかと思った」

「学校の周りでもとてもきれいな葉っぱや、もみじを集めることができるんです。そういえば、『葉脈標本』って知ってますか? アルカリの液体で葉肉の部分を溶かして落とすと、芸術品のような葉脈だけが残るんです。それに色を付けて、しおりにしたりしませんでしたか? とてもきれいで、大切にもっていましたよ。みなさん、『本の住所』は覚えたかな? 覚えておくと、便利ですよ」

本の住所~NDCコードのうた

Fu Fu Fu~
おかえり今日はたくさん返ってきたね
おかえりそれぞれの場所に戻しましょう
本には住所があるんです
1は哲学2は歴史3は社会科学
覚えておくと探しやすいですFu Fu Fu~

まいごにならないように正しい住所に
かえしてあげられたら嬉しいでしょう?
次のブロックへ移動して
4は自然科学5は技術6は産業
ほらね、もっと知りたくなったでしょう?
7は芸術8は言語9は一番多い
文学作品ですFu Fu Fu~

きちんと背表紙を手前にだして
そろえば本もよろこぶ美しい本棚
残すは最後のブロック
0は総記1から9にあてはまらない
本は全部ここへ戻したらおしまいですFu Fu Fu~

装着したもののせいなのか、少しずつ、少しずつ、図書委員に異変が現れ始めます。

「これで読書週間に読む本はばっちりですね。・・・でもね、ここだけの話、本当は私、読書週間には、不満があるんです。だって、たったの二週間ですよ。短くないですか?学校も学校です。読書週間になると途端に、読んだ本の記録をとらせたり、クラスで本の紹介をさせたりします。だけど、たったの二週間でおしまいです。なかには、そのときだけ本を読んだら、あるいは、読んだふりをすればいいんだって、勘違いしてる人もきっといます。本の世界は無限に自由なんだから、毎日が読書の日、一年中、読書週間にしたっていいと思うんです」

図書委員のあのこは、普段は大人しくていい子のふりをしていますが、伝統のそれをつけると、思い切りのいい本性が現れ、いえ本音が言えるようになってまいります。

「そもそも、どんなにカウンターで待ってたってそんなに人が来るわけじゃない、この現状を打破しなくてはなりません。借りに来る人なんて大体決まってるし、そんな人たちは、勝手に読んでて困る人なんていないし。図書委員なんて必要ないじゃないですか!だからこそ、耳までつけて、真面目に毎日活動しているのに、信じられないことを平気でやる人ってどこにでもいるものです」

絶対禁止

気温25度以上は禁止です汗をかいてしまうから
本がよごれてしまうから気温25度以上は禁止です

食べながらなんてもってのほか手を洗ってきてください
本がよごれてしまうから飲食禁止は常識です

図書室の本には透明なカバーフィルムがはってあるけど
決して万能じゃないんです大事にしてほしいんです

ページを折るのは禁止です一度折ったらもどらない
本がいたんでしまうからページを折るのは禁止です

線をひくなんてもってのほかあなたの本じゃありません
本がいたんでしまうからあとの人だって困ります

図書室の本を大切にできない人は来ないでください
あなたは出入り禁止ですホントはそう言いたいけれど

よごれた本をみるとかなしくなる
いたんだ本はかわいそうだから私の中では絶対禁止!
図書室の本はいつだって手にとる人を待ってます
みんなの役に立つためにあなたの役に立つために

図書委員の本音は、堰を切ったように止まりません。

「だいいち、今どき読書週間って何ごとでしょう? 100年前ならいざ知らず、人に勧められないと本が読めないなんて。忙しい忙しいとか言って、本を読む時間も作れないってことでしょうか? そんな人はきっと、人に勧められないと、、、お風呂にも入らないに違いありません。においます。あれ、なんか・・・、言われてみれば、なんかにおうかも? 気のせいではありません。汗をかいているのでしょうか!」

宮野くんはたまらず、暴走する図書委員のフォローに回ります。

「みなさん、落ち着いてください。においません。決して、においませんから。かがないでください。図書委員のあのこもああ見えて、きっと普段、いろいろなストレスがあるのでしょう。時々、よく分からないことを言います。100年ってね、日本図書館協会が1924年に制定した図書週間っていうのが最初っていう歴史の話をはじめたの。ちなみに100年前に皆さん毎日、お風呂に入っていたのでしょうか。ご存知でしょうか」

「すれちがいの図書室。パート2。たかが本されど本。聴いてください」

たかが本されど本

本を読まないぼくはきみと話す権利も
きみの目線の中にうつることもないのかい

本を読まない人をうらんだこともあったわ
なぜみんな図書室にきてくれないのと

たかが本されど本本は読まなければならないもの?
たかが本されど本本は読みたくて仕方ないもの
すれちがいの図書室の書架は静まり返るばかり

本を並べる君の背中を何度見ただろう
君がすすめるならばどんな本も手に取るさ

本を読む読まないは結局その人の自由ね
ただ私は図書室であてもなく待つだけ

たかが本されど本本が苦手なぼくは罪なおとこ
いいえ本それは本言葉の使い方まちがってるわ

たかが本されど本紙の束だと思えばこわくない
いいえ本それは本世界で一番すてきなもの
すれちがいの図書室の書架は静まり返るばかり

ここで、小休止。図書委員の名前を呼ぶことのできない宮野くんの設定のせいで、柏原はねみの自己紹介の時間は、ここまで遅くなります。今回の制服風の衣装のスカートの長さから、教室っぽい演出、あ、面倒だからここにはもう写真を貼りましょう。

個展

告知。次回、1月のライブでは皆さんの書き初めを募集いたします。

本が好きなきみを

世の中に本屋さんがあることは知ってたよ
沢山の棚があって全部は読めないはず

おそるおそる手にするもどれもこれも難しそう

ただどんな本を見てもきみを思い出す

いろいろな本があってこんなのも読むのかな
文字じゃない絵ばかりの写真だらけの本も

おそるおそる手にしても開かないようなものも

ただどんな本を見てもきみを思い出す

僕の知らない世界に
きみは住んでいるみたい
だけど近ごろどこにでも
本があることに気づいた

いまどんな本を見てもきみを思い出す

本が好きな図書委員を追いかけて、本屋さんにも立ち寄るようになった宮野くんは、学区内に図書館が移転してくる事実を回覧板で知り、夢のような作戦を思いつきます。図書館のオープンの土曜日、試合の多い秋だけれども、その日だけは雨が降ればいいなと、願うのでした。

さきまわり

きみは気がついているのかな回覧板とか読むのかな
僕らの学区に図書館が来るんだって

さきまわりしてみたよ桜まつりの公園が
いつのまにか鋼鉄の衝立に仕切られて

まさかまさかときみが驚く顔が見たい
まさかまさかの大逆転を僕が見せる

きみは気づいているだろな壊れそうな中央図書館
僕らのまちに建て替わる予定

さきまわりしておこうきみは必ず来るだろう
野球ばかのそこにいる筈のない僕がいる

まさかまさかときみが驚く顔が見たい
まさかまさかの大逆転を僕が見せる

きみが立ち寄るはずの棚の脇に陣取って
でもなにか、読んでないとだめかな。だめだろな

きみはいつごろ現れるやっぱり初日に来るのかな
オープンの予定だけは調べとこ
試合の日じゃないといいな

「よく晴れた土曜日。新しい図書館がついに、オープンしました。どんな本があるんだろう、また一つ、大好きな場所ができました」

しろくま図書委員会の物語のオチは、一行でつくようになっています。

図書館へつづく道ー私編

通学路をそれていちょう並木の下
風に背中を押されるようにかばんを抱えて急ぐ

新しい図書館でたくさんの本に出合える
それだけで胸がいっぱいになる

好きなことを好きと言える
そんなふうに生きていける
図書館へつづく道を今日も歩いてゆく

昨日の続きのあの本の棚は
2階の奥の3段目急いでのぼる階段

閉館の時間まで新しい本を探そう
まだ見ぬ出会いにときめいてる

好きなことを好きと言える
胸をはって好きと言える
図書館へつづく道は明日へつづいてく

好きなことを好きと言える
それだけで前を向ける
図書館へつづく道は金色にかがやいてる

「本日もご来場、どうもありがとうございました。最後まで、帰らずにいてくれてありがとうございます。皆さんご心配の物語は、まだまだ続いて参ります。例えば、宮野くんのおばあちゃんの」

思わず描きかけのお話をし始めたのを遮るように、図書委員がワンツースリーのカウント。

私は誰より図書委員

幸せをつかむなら後ずさりしてちゃだめね
本からそう教わった私は無敵な図書委員

読めば読むほど重なる経験どんな敵だって怖くない
縦横無尽に駆け抜けたパラレルワールドはここかしこ

本の世界は無限の世界
迷い込んだら戻れない?いいえ心配はいらないわ
チャイムがなればここはいつもの図書室だから

悲しみをいやすなら背中を向けてちゃだめね
本からそう教わった私は夢見る図書委員

読めば読むほど重なる人生高くなってく経験値
以心伝心で共鳴したあの人たちはいまいずこ

さあ あなたも本を手にとって
素敵な体験重ねましょ初めてだって大丈夫
本の借り方探し方教えてあげるから

貸出カードは5枚目校内一位じゃないけれど
何でも聞いてください私は誰より図書委員

何でも応えてあげる私はあなたの図書委員
初めてだって大丈夫
でも貸出カードだけは忘れないでね

夏の第2回で、「図書委員のあのこ」がクラスにいるってわかってから、しばらくしょげていた宮野くんですが、秋の第3回では図書館へ「さきまわり」してみようと思いつくほど、そこまで前向きに、積極的に読書習慣への道のりを歩み始めたのでした。

さて、お話の続きは、いかに。

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