学校の図書室でいつも本を読んでいる女の子を心ひそかに「図書委員のあのこ」と呼ぶ男の子の名前を「宮野くん」として、物語は始まります。本好きの「図書委員のあのこ」はただただ本に夢中な子であり、野球に一生懸命の読書に興味もない「宮野くん」のことは、名前を知っている程度の存在です。
時は昭和、場所はどこにでもある区立中学校を想像してください。本は好きではない男の子が、考えられ得る様々な手段で「図書委員のあのこ」への接近を試みながら、やがて読書への苦手意識を克服していくという気の長いお話です。
しろくま図書委員会の物語とはつまり、極北に生息する絶滅寸前のホッキョクグマと、南極を中心にのんびり生息するペンギンのアイコンに象徴される、遠すぎて決して交わらない二者のお話です。でもこれも想像してみてください。いつかペンギンが北極のシロクマに会いにいく旅の物語だと思えば、少しロマンがありませんか。
振り返れば三年間なんて短いはずの、この気の長い物語を少しずつ紡いでいくのが、しろくま図書委員会のライブです。皆あのころは、時間が経つのが遅かったものです。